株式会社Final Aimは1月20日、一般社団法人白馬村観光局と株式会社新東通信 / CIRCULAR DESIGN STUDIO.と共同で、NFTを活用した実証実験を長野県白馬村で行うことを発表しました。
長野県北部の北アルプス山麓に位置する雄大な山々に囲まれた地”白馬村”は、ウィンターシーズンにスキーやスノーボードが楽しめたり、サマーシーズンは北アルプスの大自然を満喫できるマウンテンリゾートです。
そんな白馬で「サステナブルリゾート実現」に向けて、Web3技術を活用して白馬村での有効な活用方法を検討するための実証実験として、「Non-Fungible HAKUBA」プロジェクトが始動しました。ここでは実証実験の「Non-Fungible HAKUBA」の特徴から、ユーザーへのインセンティブなどを詳しく解説します。
目次
- 「Non-Fungible HAKUBA」とは
1-1.実証実験「Non-Fungible HAKUBA」 - Final Aimについて
- CIRCULAR DESIGN STUDIO.について
- NFTとは
4-1.NFTの概要
4-2.NFTの特徴 - まとめ
①「Non-Fungible HAKUBA」とは
長野県白馬村でNFTを活用した実証実験「Non-Fungible HAKUBA」は、気候危機の影響で深刻な雪不足に直面してきた白馬村の美しい自然を改ざん不可能な記録として残すという意味を込め、今後の白馬村での有効な活用方法を検討するためのプロジェクトす。
1-1.実証実験「Non-Fungible HAKUBA」
今回の実証実験のテーマは、今シーズンの冬の白馬村の写真を募集し、その写真に紐づく撮影情報(時刻・位置など)をブロックチェーンに記録し特設サイトで公開します。そして写真投稿者へは証明書としてNFT(Non-fungible Token)を発行する取り組みとなります。写真の募集期間は2月中旬までを予定。(事前招待者のみを対象)また写真が公開される特設サイトは3月公開予定です。*URLは追って公開予定です。
本プロジェクトは技術パートナーである株式会社Final Aimが提供するブロックチェーンプラットフォーム「Final Chain」を使用します。期間限定での技術検証も目的としており、テストネット環境下にて行われるそうです。また今回の取り組みを通じた知見をもとに、今後の白馬村における本技術の活用を検討すべくファーストステップとして位置付けられています。
将来的には、白馬村に毎年訪れす観光客やコアなファンを中心に、環境負荷の少ない宿泊施設や移動手段の利用、サステナビリティについて学ぶ自然ツアーなど、サステナブルに向けた行動を可視化し、その貢献度に応じて、それらに応じたインセンティブを提供することで、好循環を目指すとしています。また観光業を中心とした白馬村の環境負荷低減に繋げることも構想しているそうです。
ブロックチェーンプラットフォーム「Final Chain」では、使用基盤はイーサリアム(Ethereum)のテストネットである「Goerli(ゴエリ)」が使用されます。「ゴエリ」とFinal AimオリジナルのコアAPIをもとに技術連携させるとのことです。
②Final Aimについて
Final Aimは、デザインとデジタル製造業領域を中心にWeb3.0事業をグローバルに展開し、2021年11月には自社のブロックチェーンプラットフォーム「Final Chain」のベータ版を発表しました。また、グローバル展開、資金調達環境、ブロックチェーンやスマートコントラクトなどWeb3.0技術の強化や活用にくわえて、法律や税務など総合的な観点も踏まえ、2022年4月には米国に法人を設立しております。そして、同年9月には、世界的なスタートアップアクセラレーター「Berkeley SkyDeck」にも採択されました。
Final Aimの基本概要
- 会社名:株式会社Final Aim(Final Aim, Inc.)
- 所在地:⽶国・デラウェア州、⽇本・東京都
- 創業者:Chief Executive Officer 朝倉雅文 / Chief Design Officer 横井康秀
- 事業内容:デザインとデジタル製造業領域を中心としたWeb3.0事業
③CIRCULAR DESIGN STUDIO.
CIRCULAR DESIGN STUDIO.は広告会社新東通信の社内プロジェクトチームです。「サーキュラーエコノミーで世界をあかるく、たのしく変える。」をテーマに、地域と企業を繋げて社会課題の解決に取り組んでいます。白馬村で過去4回に渡り開催してきた「GREEN WORK HAKUBA」では、プロジェクトの立ち上げから全体のプロデュース、クリエイティブワークを担当しています。
また、新東通信では、Web3.0技術を活用した日本全国を対象とする社会実装を見据え、2023年1月13日に発足した株式会社新東通信・共同ピーアール株式会社・株式会社VAZの3社で構成されたWeb3.0特化型エージェントユニット「Wonder.3(ワンダー・スリー)」も発足しています。
新東通信の基本概要
- 会社名:株式会社新東通信 / CIRCULAR DESIGN STUDIO.
- 事業内容 :サーキュラーエコノミーを起点にした地域活性・新規事業支援
④NFTとは
4-1.NFTの概要
NFTとは、「Non-Fungible Token」の頭文字を取ったもので、日本語では「非代替性トークン」と訳されるものです。NFTは、ブロックチェーンを基盤にして作成された代替不可能なデジタルデータのことです。そう聞くと難しく感じますが、要はシリアルNo.が刻まれた唯一無二のコンテンツになります。アート作品やゲーム内アイテム、音楽、トレーディングカード、仮想空間の土地などのデジタル作品や、不動産、会員権などあらゆる資産の所有権をデジタル上で証明できます。
これまでのデジタルデータは比較的簡単にコピーができてしまうことから、その所有権の所在が分かりにくいだけでなく、固有の価値を付けることが困難だとされてきました。そんな中、改ざん耐性の高いブロックチェーン基盤で発行されるNFTにより、デジタルデータに希少価値を付加することに成功しています。
パーミッションレス(許可不要)なブロックチェーン基盤で発行されるNFTは、イーサリアムなどの仮想通貨と同様に、自由に移転・取引することが可能です。ブロックチェーン上で流通したNFTは、ウォレットアドレスと取引・送付情報が記録されるため、誰から誰に所有が移ったのかの来歴を確認することもできます。
4-2.NFTの特徴
誰もが作成や販売を行うことができる
NFTは誰もが作成や販売を行うことが可能で、ブロックチェーンについての難しい知識を有していなくても、問題なく取引することが可能です。
基本的には、「OpenSea(オープンシー)」をはじめとするNFTマーケットプレイスを利用し、自作のイラストなどをアップロードするだけで簡単にNFT化することができます。OpenSeaの利用にはMetamask(メタマスク)など仮想通貨ウォレットを用意し、トランザクション手数料(ガス代)を支払うETHなどの仮想通貨を保持する必要があります。
さまざまな分野で活用できる
前述の通り、NFTは下記のようなさまざまな分野で活用が進んでいます。
ゲーム/アート/コレクターズアイテム/スポーツ/ファッション/不動産/オンラインチケット/会員証/担保ローン/ツイート
二次流通で報酬を獲得できる
従来のデジタルデータは二次流通、つまり転売されたとしても、クリエイターに報酬が入ることはありませんでしたが、NFTでは二次流通の際にクリエイターへ報酬が入る仕組みを設定することが可能です。基本的には、取引額の数%が還元されるかたちとなるため、クリエイターは長期的に継続して利益を得ることが可能です。
⑤まとめ
ここでは観光資源にもなっている自然を守るための手段の一つとして、ブロックチェーンに白馬村の美しい自然を記録する意味が込められたプロジェクトです。白馬に訪れた観光客や地元住民が自然風景を写真に納め、プロジェクトに参加したり、今後、登場するかもしれないサービスを使って投稿することで、アクティブユーザーとして自然環境への意識も高められます。
自然環境はデジタルデータのように半永久的に同じ状態で存在するものではありません。だからこそ繊細でもあり、貴重であり、これからも長く維持させなければならないものでもあります。そういった変化しやすいものをWeb3の技術を使って守ることができれば理想といえるでしょう。プロジェクトの特設サイトは3月掲載予定とのことなので、興味がある方は確認してみてください。
立花 佑
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