小林製薬のサステナブルな取り組みは?アイデア企業による人や社会に関する取り組みを紹介

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ドラッグストアでよく見かける製品も、社会課題解決に向けて取り組んでいることをご存じでしょうか。パッケージを使いやすくすることは人や社会への貢献になり、プラスチック使用量削減は環境改善につながります。

今回は、数多くの医薬品や日用雑貨品を手掛ける小林製薬をピックアップしました。独創的なアイデアを生かしたニッチな製品で知られていますが、サステナビリティについてはどのような取り組みを行っているのでしょうか。

同社への投資やサステナビリティに興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

※2023年8月8日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定のサービス・金融製品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 小林製薬の事業・製品の紹介
  2. 小林製薬の人や社会に関する取り組み
    2-1.製品を通じた社会課題の解決
    2-2.ユニバーサルデザインの推進
    2-3.ダイバーシティの推進
  3. 小林製薬の環境に関する取り組み
    3-1.環境に配慮した製品開発
    3-2.低炭素社会への貢献
  4. 小林製薬に投資する方法
  5. まとめ

1.小林製薬の事業・製品の紹介

小林製薬は1919年に設立し、医薬品・衛生用品の製造・販売を手掛ける企業です。大阪市に本社を構え、従業員数は連結で3,495人となっています(2022年12月31日時点)。

「あったらいいなをカタチにする」がコーポレートスローガンであり、いくつものカテゴリーに渡って非常に多くの製品を販売しています。よって、小林製薬と聞いたときにイメージする製品は、人によってさまざまかもしれません。

同社の代表的なカテゴリー・ブランドを以下で紹介します。

カテゴリー ブランド
消臭芳香剤 消臭元、サワデー、無香空間
トイレ用消臭・洗浄剤 ブルーレット
オーラルケア ブレスケア、糸ようじ、生葉(しょうよう)、タフデント、パーシャルデント
スキンケア ケシミン、アットノン、オードムーゲ
医薬品 アイボン、命の母、ナイシトール
衛生雑貨品 サラサーティ、あせわきパッド、ナイトミン
寒さ・暑さ対策 熱さまシート、桐灰カイロ
健康食品 イージーファイバー、サラシア100

家庭用品を中心に、比較的ニッチな領域でのブランド展開が多いことが分かります。傷跡をケアする「アットノン」や、女性の更年期をサポートする「命の母」など、悩みをピンポイントで解決する製品が多いのも特徴です。

洗剤やシャンプーなどは市場規模が大きい一方で、花王やP&Gなどが非常に強く、他に参入しているメーカーも数多くあります。このような「レッドオーシャン」での対決をせず、自社製品を長く根付かせていける領域を重視する方針です。市場規模は小さい代わりに競合も少ない「ブルーオーシャン」を開拓してきたといえます。

2.小林製薬の人や社会に関する取り組み

小林製薬は、困りごとを解決する製品のリリースや、使いやすい形にすることによって、人や社会に貢献する方針です。ここから、具体的な取り組みについて紹介していきます。

2-1.製品を通じた社会課題の解決

小林製薬はスローガンである「あったらいいな」をニッチ製品として形にすることを、50年以上にわたり続けてきました。生活者の困りごとを見つけ出し、解決のアイデアを製品としてリリースすることは同社の得意分野です。

具体的な事例として、ブルーレットはトイレに置いておくだけで洗浄し、掃除回数を減らすことができます。多忙でなかなか掃除ができない方も、トイレを清潔な環境にすることが可能です。

糸ようじは歯と歯の間の汚れを取ることで、歯周病を予防します。日本歯科医師会も、歯の数の多さや口腔の環境は、健康寿命の長さと関連している可能性が高いと指摘しています。

今後もさまざまな社会的課題に視野を広げ、顧客の快適な生活や社会での活躍をサポートしていく方針です。困りごとや課題を解決することが同社の使命であり、SDGsのテーマである「誰一人取り残さない社会」の実現につなげています。

2-2.ユニバーサルデザインの推進

ユニバーサルデザインとは、年齢や性別などに関係なく、誰でも使いやすいように設計されたデザインのことです。たとえば日本では高齢化が進んでおり、シニアの方でも使いやすい製品が今後ますます求められていくと考えられます。小林製薬ではユニバーサルデザインの観点で自社製品を採点し、評価の低い製品について改良を行いました。

たとえばサプリなどの容器としてアルミパウチが使われますが、高齢者の方には開けづらいという問題がありました。そこで手で持ちやすく、少ない力で破くことができる形状を開発しました。改良前はパウチのつかむところが狭いため開けにくい状態でしたが、改良後はつかむところが山形で大きくなり、開けやすくなりました。

糸ようじはパッケージ裏をめくるだけで、必要な資材がすべて取り出せる形状にしています。以前のようにいろいろな資材を個別に取り出す必要がなくなり、すぐ使えるようになりました。手先の不自由な方や、パッケージの文字が見づらいシニアの方にも優しい製品設計となっています。

2-3.ダイバーシティの推進

小林製薬の製品は、ユニークな発想やアイデアが土台となっています。これまでなかったような斬新な企画は、画一的な考え方をする組織からは生まれないため、ダイバーシティを推進する方針です。立場や視点の異なる人財が集まり、さまざまな視点で物事を見ることのできる組織になることで、お互いを尊重し、一人ひとりの能力も向上させることができます。

同社では「アイデア提案制度」があり、従業員から多様なアイデアを募っています。2021年では56,310件ものアイデアが集まりました。誰もが意見を出し合い、多様な意見を認め合う会社であり続けたいとしています。

女性管理職比率の向上も進めており、2021年は13.1%となりました。2013年はわずか7.1%であったことを踏まえると、前進しています。

参照:小林製薬「ダイバーシティ推進

3.小林製薬の環境に関する取り組み

ここからは、小林製薬の環境関連の取り組みを紹介していきます。

3-1.環境に配慮した製品開発

日用雑貨品でも、プラスチックは多く使われています。小林製薬では約1,000の製品を取り扱っていますが、年間8,000トンのプラスチックを使用しています。そこで同社では、再生プラスチックやバイオマスプラスチックを積極的に導入しています。

「液体ブルーレット置くだけ」は、本体・詰め替え用ともに、包装カバーや液剤ボトルをバイオマスプラスチックに切り替えました。口中清涼剤の「ブレスケア」や歯ブラシの「生葉」でも、バイオマスプラスチックを導入しています。

また店頭にある「香りサンプル」については、包装カバーを紙製の箱に切り替え、設置用のフックは紙パウダーを主原料とした素材に置き換えました。この取り組みにより、石油プラスチック使用料を年間約5トン削減できました。

参照:小林製薬「環境に配慮した製品開発

3-2.低炭素社会への貢献

小林製薬では2030年までに、GHG(温室効果ガス)排出量を以下のように削減する目標を立てています。

  • Scope1・2のGHG排出量を2030年までに51%削減(対2018年度)
  • Scope3のGHG排出量を2030年までに15%削減(対2018年度)

Scope1は事業者による直接排出、2は他社から供給された電気などの利用による間接排出、3は2以外のすべての間接排出です。Scope1・2は国内工場によるCO2排出が多く、空調機の更新、設備の断熱強化、LED照明の導入など、電気使用量を抑える活動を進めています。また、CO2排出ゼロ電力への切り替えも進めており、2020年には仙台小林製薬をCO2排出ゼロ電力に切り替えました。

参照:小林製薬「低炭素社会への貢献

4.小林製薬に投資する方法

小林製薬は東証プライム市場に上場しており、個別銘柄や投資信託によって投資をすることができます。小林製薬を構成銘柄として組み入れている投資信託の例は下記のとおりです。

投資信託の名称 運用会社
eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー) 三菱UFJ国際投信
eMAXSIS Slim国内株式(TOPIX) 三菱UFJ国際投信
DC日本株式インデックスファンドL 三井住友トラスト・アセットマネジメント
<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド ニッセイアセットマネジメント

※2023年7月末時点での最新の運用報告書を参照
※組み入れの状況は変更される可能性があります

各ファンドは、それぞれ投資目的やリスクなどに違いがあります。目論見書や運用報告書などを事前によく読んでから、納得のうえで投資をするようにしましょう。

5.まとめ

小林製薬のサステナビリティ・ESGに関する取り組みを紹介しました。アイデア企業であり、困りごとを解決する製品の開発・販売によって、人や社会に貢献する方針です。バイオマスプラスチックの使用など、環境関連の取り組みにも積極的な姿勢です。

ドラッグストアでよく見かける製品も、SDGsに関連していることがお分かりいただけたのではないでしょうか。今後も同社ならではのユニークな視点から、人や環境に優しい製品のリリースが期待されます。

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安藤 真一郎

マーケティング会社に勤務した後、ライター・コラムニストに転身。 さまざまなジャンルの執筆を行う途中でマネーリテラシーの重要性に気づき、現在はマネー・金融分野を中心に執筆活動を行う。投資、資産形成、年金、税制度、ローン、節約、キャッシュレス決済など多数の執筆実績あり。投資に関しては中長期での利益獲得を目指し、米国株式や先進国株式を中心とする投資スタイル。ファイナンシャルプランナー資格保有。