プロが考える仮想通貨トレードで必要なポイントと検証方法

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今回は、仮想通貨トレードで必要なポイントと検証方法について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. FXを大損失を被った経験
  2. ルールを順守する重要性
  3. ルールはリスク管理から
  4. フィードバックなくして成長なし
  5. まとめ

仮想通貨(暗号資産)や株、FXなど、トレーディングを行う上で一番大事なことは「メンタルコントロール」です。筆者はこれまで様々な記事で、メンタルコントロールについて説明を行いました。ここではメンタルコントロールを行う上で実際に筆者がどのように失敗し、どのように改善してきたかを実体験に基づいて解説したいと思います。個人差もあり正解のないテーマですが、参考にしてもらえると幸いです。

①FXを大損失を被った経験

筆者がトレードをスタートしたのはFX(外国為替証拠金取引)で、元手は100万円でした。当時は100倍以上のレバレッジをかけて取引可能な環境だったので、単純に儲かりやすいと考えて始めました。

筆者が大きく失敗したのはあるオーストラリアの雇用統計の日です。豪ドル円をレバレッジ100倍でロングして、そのままアルバイトに行きました。アルバイトを終えて口座を見ると残高が数万円まで減っていたのです。当時はFX会社に電話して「エラーになってますよ」と問い合わせたほど知識がありませんでした。実際にはイベントで相場が大きく変動し、ロスカットに遭ってしまっただけなのです。

このように私は、100万円を1日で溶かしてしまうという失態を犯してしまいます。私が失敗したのは、仮想通貨と比較しても値動きがまだ小さい先進国通貨の取引です。それでもあっという間に資金を失ったのです。これが仮想通貨でハイ・レバレッジをかけて取引するとしたら、その恐怖感は相当大きなものとなることは想像に難くありません。

②ルールを順守する重要性

この経験から筆者が大事と考えたことは「ルールを構築してトレードを行う」ということでした。ルールを決めてその通りにトレードを行い、損切りも徹底するということです。

しかし、次に課題となったのは「損切りラインまできた時に損切りができない」こと、そして「ルール通りに行うと連戦連敗する」ことでした。

損切りには大きな損失が伴うため、決断ができず、そのまま損失を拡大させてしまう傾向がありました。さらには、ルール通りに損切りを行ったとしても、毎回のように損切りを行う羽目になり、証拠金が減る一方でした。

そのため、さらに2つのトレードルールを作りました。

  1. 損切り注文は先に出し、後から動かさない
  2. ルールを見直してトレード結果をフィードバックする

この2点を行うことでトレードの戦績は徐々に上向いていくことになります。

③ルールはリスク管理から

ここで私が苦戦したことは「安定して利益を出すためのルール作り」です。

何が原因で自分が負けているのか、フィードバックの中でまず最初に着手したのが「利用しているパラメーターの数値の変更」です。ストキャスティクスの数値やMACDの数値などを色々と変更して行ってみますが、それでも上手く行かない日々が続きました。

そこで改めて過去のトレードを振り返ってみると、大事なことに気付きます。それが「縦軸(価格の動き)のみに意識をしすぎてしまい、横軸という時間経過の相場の動きを無視していた」ことです。

相場を語るときに「○○円まで下落したら買っていい」というような言い方で語られることがありますが、これは一見正しいようで個人的には誤解を生じやすいものではないかと思います。私は、「エントリーポイントを最初に決めておき、その後のエントリーはローソク足をみながら時間を分散することが大切」と解釈する方が良いのではないかと考えています。

当時、このことがリスク管理につながることに気づいてなかったのですが、この気づきはその後のトレード生命に影響する重要なものとなりました。その後はデイトレード用や中長期的なトレード用などと、用途に応じてルールをいくつか設け、リスク管理について模索しながら試行錯誤を繰り返した結果、現在のトレード理論が構築できました。リスク管理については、ボラティリティ(値動きの幅)を算出して、1日の変動率に基づいて取引量を調整する方法が効果的でした。

特筆しておきたいことは、「ルールをしっかりと決めたとしても使いこなせるトレーダーは一部」だということ。そして、「リスク管理に、時間分散も考慮することが重要」ということです。このようなことはあまり解説されていませんが、筆者としてはトレードで非常に大事なことと実感しています。

④フィードバックなくして成長なし

それでは次にどのような局面で負けてしまうのか、ポイントを挙げたいと思います。

最初のポイントは「精神的な負担が大きいトレードは基本負ける」ということです。心理的な負担が大きいということは、トレードに無理が生じている証拠です。そうなると冷静なトレード判断ができなくなってしまいます。

筆者の場合は5分間放置できないようなポジションは無理している、と自分自身で気を付けるようにしています。5分という時間は個人差はあると思いますが、負担が大きいかどうかは自分自身が一番理解できることでしょう。負担の理由は数量であったり、トレードのスタイルだったり色々と考えられますが、深層心理をしっかりと分析して把握することが大切です。

また、著者の経験を振り返って痛感することは、「フィードバックなくして成長なし」ということです。トレードを繰り返す中で、なぜ負けているのか理解しないまま次のトレードに取り組むことは問題です。数学の解法がわからないまま、再度同じ問題を解こうとしていることと同様です。

筆者自身もフィードバックを徹底して行う中で、エントリーを時間でズラすことの大切さや、時間軸の考え方に目が向くようになりました。これらはフィードバックを行っていなければ気づかなかったでしょう。他にも、フィードバックを行うことで様々な細かな課題というのを見つけることができました。

最初はとても面倒に感じるかもしれないし、本当に勝てるようになるかどうかは約束されているわけではありません。しかし、現状負けているのであれば、自分なりに仮説を立てて対策を取ることがいかに大事かということを理解する必要があるでしょう。

⑤まとめ

ここでは筆者の恥ずかしい経験を交えながら、トレードで成長するまでの経緯を簡単に説明しました。

最後に、これから仮想通貨トレードを始める方に向けて伝えておきたいことは、FXや株と仮想通貨は全く異なるということです。相場の変動幅が異なるため、リスク管理の方法が全く異なります。そのため、リスク管理の方法を最初に考えるようにしてみましょう。リスク管理に基づいてルールを作るといっても過言ではありません。

その上で、資産の使い方、数量の考え方など色々な視点から考えるべきことはたくさんあります。ぜひここで記載したことを参考に、仮想通貨トレードの一歩を踏み出してみてください。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12