仮想通貨市場の『魔界』とは?投資家を魅了する『草コイン』について解説

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今回は、草コインについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. 草コインとは?
  2. 代表的な草コイン
    2-1.ドージコイン(DOGECoin)
    2-2.タイタン(TITAN)
  3. 草コインの特徴
    3-1.時価総額や流動性がかなり小さい
    3-2.価格の上下が激しい
    3-3.情報・価格操作されやすい
  4. 草コインのメリット
    4-1.短期的に大きな利益を得られる場合がある
    4-2.DEXに資金を預けることで、高金利や高報酬が得られる
  5. 草コインのデメリット
    5-1.暴落するリスクが高い
    5-2.プロジェクトが破綻したり、持ち逃げされる恐れがある
    5-3.DEXやウォレット操作で失敗するリスクを含む
  6. 草コインを購入する際の注意点
    6-1.開発者やプロジェクト情報を精査する
    6-2.コインホルダー数を確認する
    6-3.少額投資から始める
    6-4.利益が出たら、元本を回収する
  7. 草コインは触るべきか?

最近、SNSなどでは仮想通貨ユーザーの間で『魔界』、『草コイン』などの言葉が飛び交っている場面を目にした方も多いでしょう。草コインというのは玉石混合のアルトコイン群を指しており、中には数か月で10~100倍近く高騰したケースもあれば話題になることも増えてきます。しかし、こうしたアグレッシブな草コイン投資家を狙う詐欺的なプロジェクトも増加しており、一部の市場は『魔界』と化しています。今回は仮想通貨市場の魔界に巣食う、草コインについて解説します。

①草コインとは?

草コインについて明確な定義はありませんが、おおよそ以下のような共通点がある様です。

  • 時価総額が少なく流動性も低い
  • プロジェクトの中身・将来性が不明瞭
  • 一部のコミュニティで熱狂的に支持されている

こうして見ると投資の選択としては不適切なように見えます。それもそのはず、もともと英語圏では『Shitcoin(シットコイン)』と呼ばれており、ユースケースを持たない無意味なコインを表す場合に使用されました。草コインはERC-20規格の仮想通貨を発行するICOプロジェクトが増え始めた2017年から急増しました。その勢いは昨今のDeFi・NFTブームの中で、ガバナンストークンの発行という形でさらに加速しています。

特に現在は分散型取引所DEXにパーミッションレス(無許可)でリストできるため玉石混合のトークンがDEXに集まっており、まさに『魔界』と揶揄されています。

中にはコインを買って流動性プールに参加することで年利(APY)10000%を謳うトークンも出てきており、一定規模の流動性を集めています。トークン単価でさえ数か月で10倍近く高騰するケースもあるため、草とコインは一部のトレーダーにとって魅力的な投資対象となっている側面もあります。

②代表的な草コインを紹介

2-1. ドージコイン(DOGECoin)

DOGECoinは、数年前まで代表的な草コインの一つでした。以前はCryptopia(現在は閉鎖)などの小規模な取引所でのみ取り扱われており、一定間隔でパンプ(急騰)しては停滞を繰り返す傾向が見られたため、一部のトレーダーが投機対象として触っていました。

しかし、DOGEは単価が小さいために寄付プロジェクトの実験や、他の草コインとのトレードに便利な利点が見いだされ、柴犬をモチーフしたキュートなアイコンも相まってファンを着実に増やしました。

2021年ドージコインの価格推移($)

最終的に、大手取引所BinanceやCoinbaseにも上場を果たし、イーロン・マスクがツイートなどで表立って後押ししたことで一気に跳ね上がり、現在では時価総額9位まで上り詰め、草コインとは呼べないほど成長している象徴的な仮想通貨です。

2-2. タイタン(TITAN)

TITANという仮想通貨は2021年に一躍ブームとなって暴落した典型的な草コインです。ステーブルコインIRONを発行するプロジェクトのガバナンストークンがTITANです。IRONはTITANとUSDCを担保にしており、そのAPYの高さから一時は10億ドル相当の流動性を集めました。

TITANの価格もわずか数週間のうちに初値1.68ドルから64.19ドル以上の最高価格まで上昇。しかし、IRONの価格が1ドルを下回ると途端にバンクラン(取り付け騒ぎ)が生じ、最高値を付けた翌日までに0.000000015109ドル(42億分の1)まで暴落したのです。このように草コインは、投機対象として大暴騰や大暴落を引き起こす傾向があります。

③草コインの特徴

次に、草コインの特徴について見ていきましょう。

3-1. 時価総額や流動性がかなり小さい

まず一つ目が時価総額や流動性が極端に小さいものが多いです。流動性が小さいとどういうことが起こるかと言うと、普段多くの資金が流れてるコインでは大した変動も起こさないような資金でも、暴騰に繋がることもあります。

3-2. 価格の上下動が激しい

時価総額や流動性が小さいと、大きな資金が入った場合に価格が跳ね上がる場合があります。その逆も然りです。大口投資家が大量のコインを売れば、当然ながらこのような通貨は大暴落することになります。このような極端な市場では常にリスク管理が求められます。

3-3. 情報・価格操作されやすい

暗号通貨市場は規模が小さく、未だに著名な投資家の発言などにより、振り回される場合があります。DogecoinやTitanもその例の一つです。魔界は特に意図的な価格操作が行われやすい市場となっています。

④草コインのメリット

4-1. 短期的に大きな利益を得られる場合がある

多くのスキームは、価格のポンプに基づいており、流動性が小さい故に意図的に価格を上げることが可能になっています。これをうまく上昇の波を利用すれば、短期間で膨大な利益を得られる可能性があります。

4-2. DEXに資金を預けることで、金利やマイニング報酬が得られる

イールドファーミングという稼ぐ手法が存在し、草コインは特に採用されてる場合も少なくありません。これはDEXに流動性を提供する事で報酬を得る事を言い、これは流動性プールを利用することで分配収入のようなものが得られます。中には、年利が数百〜数千%までに及ぶものもあり、多くのユーザーが求めています。

⑤草コインのデメリット

5-1. 暴落するリスクが高い

草コインの特徴として、時価総額が小さく、値動きが激しい点を挙げました。これは大きなホルダーがいる場合、すぐに暴落してしまい、利益がゼロまたはマイナスになるケースも多々あるため注意が必要です。

5-2. プロジェクトが破綻したり、持ち逃げされる恐れがある

最近では、NFT関連のイカゲームコインが大きな話題となりました。これは開発者が、資金を持ち逃げしたとされています。初心者でもわかるほど大暴騰、大暴落を繰り返している顕著な草コインです。

5-3. DEXやウォレット操作で失敗するリスクを含む

通常、草コインはその取引量やプロジェクトの不明さから大手の取引所では取り扱われない傾向にあります。トレーダーはDEXを利用する必要があり、これは初心者にとっては難易度が高いため、理解せずに使用すると大事な資金を失うリスクもあります。

⑥草コインを購入する際の注意点

いくつか注意点やポイントをご紹介します。

6-1. 開発者やプロジェクト情報を精査する

プロジェクトの背後にいる人々は、偽の名前を使用するものではなく、信頼できるものでなければなりません。Twitterやテレグラム、Instagramで顔出しでプロジェクトを公開しているチームは詐欺の可能性ははるかに低くなります。またプロジェクトの定義や特定や機能だけでなく、ロードマップを提供していないものは危険です。

6-2. コインホルダー数を確認する

専門家は、投資する価値のある新しいコインには、少なくとも200から300の保有者が必要であると言います。この最小値を満たさないコインは健全ではなく、投資する価値もないと判断してもいいでしょう。

また、流動性プールは、最も使用すべき分散型取引所の裏付けの一つです。あなたが投資しているプロジェクトが少なくとも30,000ドルの流動性を持っていない場合、投資する価値はないと判断できます。

6-3. 少額投資から始める

特定のコインの価格が上がる可能性があると考えた場合、少額の投資から始めましょう。その後しっかりと市場を観察し、最初の推測が正しかったかどうかを判断します。それらを保持して価格の潜在的な上昇を待つか判断します。

6-4. 利益が出たら、元本を回収する

価格が上昇し始めた場合は、利益を得るか、少なくとも最初の金額を引き出して上昇トレンドに乗り続けるのが最善の策でしょう。逆にリスクを十分に認識している場合は、明確なシグナルが購入の機会を示しているときに、より多くの金額を投資することもできます。

⑦草コインは触るべきか?

最後に上記のように魅力的な面もありつつ、リスクが常に大きく付き纏うのが草コインの特徴です。時価総額の小さいコインは価格が安いためチャンスと見なされることが多々ありますが、常に感情をコントロールする必要があります。これができないと、多くの人が非現実的な楽観的な考え方により、資金の大半を失う可能性も十二分に考えられるでしょう。草コインを触るときは自身のルールを決めて、最小限の投資で臨むようにしましょう。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12