DAppsとは

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DAppsとは、Decentralized Applicationsの略称で、日本語では分散型アプリケーションといいます。ブロックチェーン上でプログラム(スマートコントラクト)を動作させる仕組みを応用した、管理者不在のアプリケーションです。DAppsは、一般消費者向けのアプリケーションと同様のサービスを提供しますが、ブロックチェーン技術を応用しています。データ管理をする中央管理者が不要かつユーザーに管理権限を付与する、非中央集権的なアプリケーションです。

広義の意味では、ビットコインを始めとする仮想通貨もブロックチェーン技術によって提供されるアプリケーション、すなわちDAppsといえるでしょう。しかし、一般的にはブロックチェーン上でスマートコントラクトによって構築されたアプリケーションを指します。主にイーサリアムのネットワーク上で提供されているものが有名ですが、ビットコインやその他のブロックチェーンにもDAppsは存在します。

DAppsは、サービスとしては一般的なアプリケーションと似ていますが、それらとは異なる明確な特徴がいくつかあります。一つは、中央管理者不在のピアツーピア(P2P)ネットワーク上で、参加者の合意によりすべての決定が行われる自律したアプリケーションであることとされています。それらは、オープンソースによって、その仕組みが公開されているのも特徴です。また、ブロックチェーン技術によって、デジタル情報が安全に分散保存されることが重要な要素だといえます。アプリケーションでやりとりされる情報をもつ価値(トークン)を、ネットワークの健全性とエコシステムの維持のために報酬として与えることも特徴の一つです。簡単にいうと、PoWにおけるマイニング報酬のような仕組みが、DAppsにはあります。

こうした特徴のもと、DAppsは自由に価値の交換ができるトークンの発行と、アプリケーション内にそのトークンの受け渡しを行う仕組みを持つことで、管理者不在で自動的にオペレーションの実行が可能なサービスを提供することができます。

DAppsといえばイーサリアムであるというイメージは、イーサリアムが開発された経緯に由来します。2013年にVitalik Buterin氏によって考案されたイーサリアムは、ビットコインを研究した上で、ブロックチェーン上でスマートフォンのようなアプリケーションを動かす仕組みが作れないかと試行錯誤した結果、誕生しました。

イーサリアムは、プログラムによってあらかじめ決められた処理を自動実行できるスマートコントラクト機能の実装に成功しました。スマートコントラクトによって、誰でもDAppsを構築することができます。DAppsによって、イーサリアムは今までにはなかった分散型金融(DeFi)やブロックチェーンゲームなど様々なアプリケーションを開発することができるようになりました。イーサリアムの人気と共に多くのDAppsが開発されるようになり現在に至っています。

DAppsは、ブロックチェーンと同様に分散管理によって常に稼働し続けることができます。実行履歴がブロックチェーンに記録されるため、誰もがその内容を確認することでき、透明性を担保することも可能です。DAppsにより提供されるサービスあるいは期待される分野は、大きく分けて三つのタイプに分かれます。

一つは、DeFiと呼ばれるようになった金融系アプリケーションです。DeFiは、ブロックチェーンを応用し、複雑なレンディング・保険などをDAppsによって自動化し、第三者を介さずに運営するサービス群です。DeFiは、新時代の金融システムとして期待されています。すでに仮想通貨取引所を自動化するDEX(分散型取引所)や、仮想通貨を預けることで自動的に利子を獲得できるサービスが提供されています。

もう一つは、準金融系アプリケーションです。内容は金融系アプリケーションにも似ていますが、異なるのはブロックチェーン外部からのデータなど別の要素も必要とする非貨幣的な側面を持つ分散型アプリケーションです。準金融系アプリケーションは、バウンティプログラムなど何かの成果に対して報酬を自動的に支払ったり、トークンを付与したりするようなアプリケーションです。準金融系は、オンライン投票やSNSであればコメント投稿や「いいね」を押したユーザーに対して、トークンを発行して利用を促進するようなことにも利用できます。第三者を介さずにポイントシステムのようなサービスを運営することも可能です。

最後の一つは、それ以外のアプリケーションです。例えば自律分散型のファイルストレージやブロックチェーンゲームなど、開発者が作りたいと企画するあらゆるタイプの分散型アプリケーションが含まれます。特にブロックチェーンゲームは、NFT人気とも相まって目覚ましい進化を見せています。

また、昨今はDAO(Decentralized Autonomous Organization)という、管理者やリーダーのいない自律分散型組織の運用といった分野の応用例が注目されるようになりました。組織内の階層構造もなく、構成員一人一人によって運営されているのが大きな特徴です。DAOは、構成員間で情報を共有し組織に関わる全員が経営に携わり、個人がそれぞれに決定権を持って、目的の達成を目指します。DAOの代表例としては、分散型投資ファンドの台頭が目立ちます。投資家一人一人が運営に携わって資金使途を決める方法が新しく、仮想通貨業界ではDAOによる投資の動きが顕著になりつつあり、その動向に注目が集まっています。

このようにDAppsは、様々な分野で応用されるようになりました。DAppsは、中央管理者が存在せず第三者を介する必要がないため、取引期間の短縮化や人件費などのコストを削減することができます。分散型システムは、一部のノードが停止ないし故障しても、システム全体が稼働を続けることもメリットです。また、DAppsは従来のような伝統的な資金調達を必要とせず、DAppsそのものでトークンを発行し、利用者が所有することで、資金調達、出資者への報酬、収益化という一連の流れをすべて完結させることもできます。こうしたDAppsのメリットは、これまでのビジネスモデルをも凌駕する可能性があることから、日を追うごとに注目度が高まっています。

しかし、DAppsにも課題はあります。DAppsはブロックチェーンを応用していることから、利用頻度が増加することでブロックチェーン全体のトランザクションが増加します。特定のブロックチェーンに人気が集中することでトランザクションが遅延するスケーラビリティ問題が発生する可能性もあります。トランザクションの増加はブロックチェーンの取引手数料の上昇にも繋がります。手数料の高騰はDApps内の手数料だけでなく、DAppsを利用していないその他のブロックチェーンユーザーのトランザクション手数料にも影響する問題に発展します。まさにイーサリアムは、多くのDAppsが提供されるようになり、手数料の高騰に悩まされています。

また、DAppsは一度デプロイされると、通常はシステムダウンすることがなく稼働し続けることから、簡単にプログラムの変更ができないという欠点もあります。ひとたびバグが発生すると、その修正は容易ではありません。DAppsは、中央管理者が存在しないため、アプリケーションのアップデートには参加者の合意形成が必要になります。そうしたこともあり、DAppsの開発は慎重に行う必要があります。

ただし、こうした課題を解決するために新たな技術も多数誕生しています。今では、イーサリアムよりも効率よくDAppsが開発できることをうたうブロックチェーンも登場しています。イーサリアムを生かしながら手数料がかからない仕組みなども開発されているのです。こうした技術の発展により、あらゆる課題が解決されつつあるDAppsは、将来明るい技術であり、必要不可欠なものであると認知されるようになりました。

監修者: 株式会社techtec リサーチチーム

株式会社techtec「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル) 」を運営。日本発のブロックチェーンリーディングカンパニーとして、世界中の著名プロジェクトとパートナーシップを締結し、海外動向のリサーチ事業も展開している。Twitter:@PoL_techtec

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