PoW(Proof of Work:プルーフオブワーク)とは、中央管理者を介せず取引を行うP2Pネットワークにおいて偽りの取引情報を排除しながら、何が正当な取引情報なのかを決定・管理するための仕組み(コンセンサスアルゴリズム)を指します。
悪意のある一部の参加者によって参加者全体で統一された合意形成(ブロックチェーンにおいては正当な取引情報の記録)が阻まれるという問題は、以前からコンピュータサイエンスにおいてビザンチン将軍問題と呼ばれる難問で、P2Pネットワークにおける決済システムの実現のために解決しなければならない課題でした。
PoWを支えるマイニング
マイナーは取引情報に自身の報酬トランザクション(コインベース)と任意の数値(ナンス)を加えてハッシュ値の計算をする「マイニング」を行います。この計算では、前のブロックのハッシュ値とナンスと呼ばれる約43億通りの数値をハッシュ関数に入れ、特定条件を満たした値が出るまで行う必要があります。
最初にマイニングに成功したマイナーは、生成したブロックにコインベース(coinbase)と呼ばれるトランザクションを入力することができ、それによりビットコインを報酬として受け取ることができます。こうした報酬の存在によって、正しい取引記録を継続することが取引改ざんや二重支払いなどの不正を行うよりも利益を得ることができるインセンティブとなり、ビットコインネットワーク全体の信用性が担保される仕組みとなっています。
生成されたブロックはネットワーク全体にブロードキャスト(通知)され、ネットワーク参加者によって検証作業が行われます。検証作業では、ブロードキャストされたブロックの情報を元に、ハッシュ値の確認とビットコイン送金者の署名全てを参加者が各自で保持するブロックチェーンと照合します。その取引が正しい場合は、検証が終わった後に参加者はそれぞれ自分のブロックチェーンの末尾に新しいブロックを加えます。
複数のブロックチェーンが生成された場合、ブロックチェーンは分岐してしまいますが、そうした場合には長いブロックチェーンが正当なトランザクションが記載されていると認められる仕組みとなっています。こうしたさまざまな仕組みにより、中央管理者のいないP2Pネットワーク内であっても同一情報のブロックチェーンを保つことができるのです。
PoWという考えはビットコインがコンセンサスアルゴリズムに導入する以前から存在するもので、その原型となるコンセプトは1993年に発表されていました。このコンセプトはコンピュータサイエンティストであるシンシア・ドワークとモニー・ナーアにより発表され、1999年にはマーカス・ヤコブソンとアリ・ジェルズによって論文で「プルーフオブワーク」と命名されました。
PoWとさまざまなコンセンサスアルゴリズム
コンセンサスアルゴリズムには、PoW以外にもさまざまな種類が存在しています。PoWは、その仕組みを維持するための電気代高騰やマイナー寡占化による合意形成の中央集権化といった問題があり、こうした問題を解決するコンセンサスアルゴリズムが着々と登場してきています。以下では、その中でも有名な2つのコンセンサスアルゴリズムについてご紹介しておきます。
PoS(Proof of Stake:プルーフオブステーク)
PoSには通貨の保有年数によってマイニング難易度が調整されるものと、通貨の保有量に応じてマイニング難易度が調整されるものの2種類のコンセンサスアルゴリズムが存在します。通貨の保有に関する評価項目を設けることによって大規模な機器を必要とせずにマイニングを行うことができるとされており、高騰し続ける電気代が問題となるPoWの課題を解決するエコなコンセンサスアルゴリズムとして提唱されました。そうしたメリットの一方で、通貨を大量に保有する一部の人間がさらに富む仕組みであるといった指摘やPoWと違って不正なブロックが生成されやすい「ナッシングステーク問題」といった問題も指摘されており、今後の開発が注目されています。
PoI(Proof of Importance:プルーフオブインポータンス)
PoIはコミュニティにおける重要度に応じて報酬が受け取れるコンセンサスアルゴリズムです。コミュニティにおける重要度は、所有する通貨量や取引量などから算出されます。PoIにおける報酬の獲得はハーベスティングと呼ばれ、受け取れる報酬額やタイミングにはばらつきがあり、どのくらい受け取れるかの想定ができないといった特徴があります。現在PoIを導入しているNEMでは、ハーベスティングを行うために10,000XEM以上の保有数と、ある程度の取引量を満たしていることが最低条件として課されています。
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HEDGE GUIDE 編集部 暗号資産・ブロックチェーンチーム
