サステナブル素材6Kは9月5日、シリーズE(資金調達ラウンド)の第1回クローズで8,200万ドル(約116億円)を調達したと発表した(*1)。調達資金を元手に、リチウムイオン電池の正極活物質(CAM)と積層造形用金属粉末の生産拡大を推し進める。
今回の投資ラウンドはインサイダー主導で、Anzu Partners、Energy Impact Partners、LaunchCapital、Material Impact、Volta Energy Technologiesが参加した。第2回クローズは秋の終わり頃に予定している。併せて、アーロン・ベント博士が最高経営責任者(CEO)を退任し、6Kの最高執行責任者(COO)を務めるサウラブ・ウラル博士が新CEOに就任したことも発表した。
今回の資金調達により、6Kはテネシー州ジャクソンにあるPlusCAM電池材料工場で、IRA準拠のリチウムイオン電池正極活物質の生産能力を拡大することができる。同社によると、PlusCAM工場はUniMeltと呼ぶプラズマ製造プロセスを採用した世界初の正極材工場となる。現在、複数の顧客がIRA税額控除の資格を得るサポートをするために、月産1トンまでのCAMを生産する能力を有している。
6Kの次期取締役会メンバーとして、ベダ・ボルツェニウス氏とジェフ・チェンバレン博士が加わる。
ベダ氏は自動車部品大手マレリのCEOを務めるなど、ドイツ、米国、メキシコ、南アフリカ、中国、日本で、30年以上にわたって世界の自動車業界でリーダーシップを発揮してきた。チェンバレン博士は、アルゴンヌ国立研究所から発足したベンチャーキャピタル Volta Energy TechnologiesのCEOである。エネルギー、集積回路、水処理技術の分野において、工業製品の研究開発と商業化で長年の実績を持つ。
6Kは2014年に設立され、米マサチューセッツ州を拠点とする。現行のプロセスより持続可能な手法でリチウムイオン電池や積層造形など向けの先端材料を開発している。
同社の UniMeltは、高熱、高反応性イオン、指定した化学物質を組み合わせる。これにより、従来の方法では数日かかる製造工程を僅か数秒に短縮し、重要な原材料(クリティカルマテリアル)を大規模に製造する(*2)。二酸化炭素(CO2)排出量やエネルギー消費量を削減し、廃水を出さず、リサイクル素材を利用するなど、環境面でのベネフィットもある。
世界で最も有望なクリーンテック領域のスタートアップ100社を選定する「2023グローバル・クリーンテック100」など、数々の賞を受賞している。
【参照記事】*1 6K「Stock graphic of a news globe
6K Closes $82M as Part of Series E Fund Raise for Expansion of Production Capabilities 」
【参照記事】*2 6K「Breaking Traditional Barriers – Collapsing Days to Seconds.」

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