ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ株式会社は2月5日、2024年の米国の経済見通しについて、ポートフォリオ・ストラテジストのギャレット・メルソン氏のレポートを公表した。2023年から、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策に関わる経済情勢をめぐって、投資家の予想は「ハードランディングの見通しがソフトランディングへの期待へ、それがノーランディングへの懸念となり、ハードランディングへの悲観論へ」と安定しない。コンセンサス予想では、24年の米国の実質GDP成長率は1.3%にとどまっているが、同社はさらに上振れする可能性が高いと見ており、メルソン氏は「多くの点においてソフトランディングはすでに実現しつつある」との見解を示した。
底堅い成長はディスインフレ圧力と相容れないものではないとの考えから、同社はかなり前からソフトランディングを予想していたという。
根拠として、22年には成長にとって大きな逆風となっていた財政の足かせが、23年を通して一貫して弱まり、24年には緩やかなサポート要因になると予想される。肥大化した在庫はほぼ適正化され、消費が持ちこたえていることから、同社は、工業生産、特に防衛や自動車・航空機セクターを後押しする在庫補充サイクルが進行していると見る。
製造業は法制上の優遇措置と供給網の再構築に支えられ、堅調なペースで成長を続けている。設備投資がさらなる設備投資を生み、企業が21年、22年での経験を踏まえて効率性向上のためのさらなる投資に目を向けることから「より広範な設備投資サイクルが生じており、引き続きサポート要因となる」という見立てだ。
連邦政府の支出は緩やかになるが、州政府と地方政府は潤沢な現金を維持しており、引き続き財政出動を行う見通し。消費者のバランスシートも強固で、労働市場は堅調を維持し、実質賃金はインフレ率の低下とともに上昇している。
「労働市場はもはや物価安定の脅威ではなく、供給網の摩擦が解消し生産性が向上するにつれて実質成長率はディスインフレが続き、インフレが収束するにつれて名目成長率は緩やかな鈍化を続ける」と同社。
そのうえで「ソフトランディングの到来は、政策が制限的なものから中立的なものへと再調整され、外科的な利下げが行われることを意味する。利下げのタイミングや規模については議論が続いているが、成長率が急激に低下しない限り、リスク資産への買い意欲はさらに高まるだろう」と米国経済の今後を予測した。

HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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