豪Lithium Universeは太陽光パネルのリサイクル事業に参入し、マッコーリー大学が開発した最先端のマイクロ波ジュール加熱技術の全球権利を取得したと発表した。豪資源・テクノロジー特化メディアのSmall Capsが7月31日、報じている。この革新的な技術は、使用済み太陽光パネルに含まれる重要鉱物を効率的に回収し、増大する廃棄物問題の解決を目指すものだ。
同社が取得したマイクロ波ジュール加熱技術は、マイクロ波を用いて太陽光発電(PV)セルを選択的に加熱・剥離させることで、より高い回収率を実現する。研究では、銀の最大98%や、銅、鉛などの貴金属のほぼすべてを効率的に回収できることが示されている。2050年までに世界の埋立地に蓄積される使用済み太陽光パネルは7800万トンに達すると推定されており、この技術は循環型経済への移行を支える重要な役割を担う。
同社のイギー・タン執行委員長は、この取り組みが、ハイテク産業に供給される銀、シリコン、ガリウム、インジウムといった重要鉱物の新たな供給源を開拓する大きな価値を持つと述べた。また、埋立地に廃棄されたPVセルからカドミウムや鉛などの有害物質が流出し、環境や人の健康にリスクをもたらす課題に対し、マイクロ波技術が有望な解決策を提供すると強調した。
同社はリサイクル計画の第一段階として、銀価格が高騰している現状を踏まえ、1セルあたり約20グラムの銀の回収に注力する方針だ。この動きは、同社がカナダで進めるベカンクール炭酸リチウム精製所のプロジェクトと並行して、循環型経済のための鉱物処理技術とインフラを開発するという同社の戦略に合致している。
【参照記事】Lithium Universe Looks to Turn Waste into Wealth with a Pioneering Move in Solar Panel Recycling

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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