米小売り大手のウォルマート(ティッカーシンボル:WMT)は6月3日、自動化技術を導入した次世代型フルフィルメントセンター(物流・配送拠点)を開設すると発表した(*1)競合のアマゾン(AMZN)に対抗して迅速な配送サービスを提供し、ネットビジネスの拡大を図る。
新たに建設するフルフィルメントセンターでは、自動化技術を活用して梱包や発送などの作業をより効率化する。今夏、イリノイ州に1拠点目を開設したのち、今後3年間でインディアナ、テキサス、ペンシルバニアの各州でも展開する計画だ。顧客にとっては、シリアルやTシャツなどの商品を翌日もしくは翌々日に受け取れるようになる。
近年、ウォルマートではオンラインの売上高比率が高まるなか、全米の約75%にあたる3,500店超でネット注文に対応している。しかしながら、既存のフルフィルメントセンターでは、従業員は商品を棚から降ろして梱包する場所に運ぶのに1日約1.6km以上動かなければならないという。新設するフルフィルメントセンターでは、ロボットや機械学習などを導入することでその動きが必要なくなり、従業員は自動で運搬されてきた商品を箱詰めすることになる。
ウォルマートは迅速な配送サービスを通じて顧客の利便性向上を図るべく、テクノロジーの活用を進めている状況だ。最近では、ドローンを活用した宅配サービスを拡充し、荷物を消費者宅まで届ける「ラストワンマイル」を強化している(*2)。
一方、競合のアマゾンもすでに、プライム会員向けに広範な商品を1日もたたないうちに配送している。10年前に物流施設向けの搬送ロボットを開発するKiva Systemsを買収。それ以来、ロボットを活用した複数のフルフィルメントセンターを開設し、配送スピードの向上を図っている。
また、アマゾンは従業員の身体への負担を軽減する搬送ロボットの研究開発を進めているほか、フルフィルメント・ロジスティクス関連の技術開発を試みる企業に投資する10億ドル(約1,360億円)規模のファンドも立ち上げ、配送スピードや物流施設の安全性向上に資する取り組みを推進している(*3)。
ウォルマートやアマゾンのように、テクノロジーを活用して顧客サービスの向上を図る取り組みが推進されることに今後も期待したい。
【参照記事】*1 ウォルマート「A New Era of Fulfillment: Introducing Walmart’s Next Generation Fulfillment Centers」
【関連記事】*2 ウォルマート、ドローン宅配を400万世帯に拡大。ラストワンマイル強化
【関連記事】*3 アマゾン、物流関連技術に投資する10億ドルファンド立ち上げ。作業環境改善図る
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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