UBS、ロックフェラーAMとブルーエコノミー特化ファンド設立。財務的リターンとポジティブインパクト創出を目指す

UBSグローバル・ウェルス・マネジメントは、ロックフェラー・アセット・マネジメントと、ブルーエコノミー分野に特化したファンド「UBS・ロックフェラー・オーシャン・エンゲージメント・ファンド」を立ち上げた(*1)。

同ファンドは、UBSの長期投資テーマであるブルーエコノミーに沿ったアクティブ運用の株式ファンドだ。海洋問題に取り組む企業とのエンゲージメント(対話、働きかけ)を通じて、財務的リターンとポジティブインパクトをもたらすことを目指す。

廃水処理、廃棄物管理、プラスチック・リサイクル、持続可能な水産養殖などの分野において、投資対象規模は1.1兆ドル(約172兆円)超になる。

海洋は経済、社会、環境を効果的に機能させるために不可欠だが、保護されている海洋はわずか5%にすぎず、開発への資金も不足している状況だ。

ブルーエコノミーへの移行はプロフィットプール(#1)のシフトを促し、ビジネスモデルが新しい世界に適応することで投資機会を創出することになると見ている。経済協力開発機構(OECD)は、2030年までにブルーエコノミーの規模が10年比で2倍となる3兆ドルに達すると予想している。

同ファンドは中・小型株中心で、バリューでティルトをかけた、確信度の高い約50銘柄をポートフォリオに組み込む。一貫した投資と株主エンゲージメントを通じ、海洋の健全性にポジティブな変化をもたらすとともに、テーマ別戦略により、主に上場株式と持分証券に投資することで長期的な実質リターンを追求する。

UBSのリサーチ部門であるチーム・インベストメント・オフィス(CIO、#2)とロックフェラーの海洋に関する専門性を活用する。ロックフェラーはポートフォリオ・マネージャーとして、長期的な価値を創造するために企業と積極的にエンゲージメントをおこなう。海洋と資源の保全、持続可能な利用を促進することを目的とした数十年にわたる経験も活かす。

ロックフェラーは、同社の科学・政策アドバイザーを務めるオーシャン・ファンデーションと協働する。オーシャンは、世界中の海洋環境の保全に取り組む大手非営利団体であり、海洋と気候の結びつきに関連するトレンドの特定において、長年培ってきた専門性を有している。

ロックフェラーのプレジデント兼最高投資責任者(CIO)を務めるケーシー・クラーク氏は「弊社の30年以上にわたる投資経験に加え、科学と投資の橋渡しをする独自のネットワークを活用することで、同ファンドは株主エンゲージメントを通じ、財務的リターンと海洋の健全性へのインパクトを求める投資家に魅力的な機会を提供する」と述べた(*1)。

20年に設立された「クレディ・スイス・ロックフェラー・エンゲージメント・ファンド」は、UBSが新たに立ち上げたファンドに統合され、運用資産額は2億ドルを超える。

(#1)プロフィットプール…各事業において収益がどのような構成になっているかを示すもの。

(#2)UBS CIOは、PWM/The Banker Global Private Banking Awards 2023で、プライベートバンキング部門のベストチーフ・インベストメント・オフィス賞(グローバル)を受賞している。

【参照記事】*1 UBS「UBS launches ocean engagement fund in collaboration with Rockefeller Asset Management

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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