データブリックス、データ最適化スタートアップTabularを買収。相互運用性向上へ

データ分析基盤のデータブリックスは6月7日、クラウドに保存されたデータの最適化を支援するスタートアップTabularを買収することで合意したと発表した(*1)。両社のデータの相互運用性を高め、より迅速に製品を提供することで、さらなるリーチの拡大を図る模様だ。

Tabularは、Apache Icebergと呼ばれるオープンソースのフォーマットの原作者によるストレージ・プラットフォームである。複数のコンピュートエンジンとフレームワークを接続し、クエリ時間とストレージコストを最大50%削減する。データアクセス制御(RBAC)の一元化もおこなう。

今回の買収は、データブリックスにとって、ビッグデータの管理・分析サービスを手掛ける米スノーフレイクやその他の企業との競争に直面する中、より迅速に製品を提供するのに役立つ見込みである。スノーフレイクや、リアルタイムのデータを分析するストリーム処理を手掛ける米コンフルエントも買収を試みていた模様だ。

データを探索したりグラフを作ったりする前にクエリを実行すると、そのコストはかさむ。開発者たちはApache Icebergと呼ばれるオープンソースのフォーマットを構築し、データをテーブルに格納し、様々なツールで利用できるようにした。

Tabularの共同創業者であるライアン・ブルー氏とダニエル・ウィークス氏は、ネットフリックス在籍時にIcebergを考え出した。Tabularは、Icebergにビジネス向けの機能を追加し、テーブルをアマゾンやグーグルに保存している。そこから、企業はテーブルをスノーフレイクや他のシステムに接続し、より安価なクエリを可能にする。

データブリックスは、Delta Lakeと呼ばれる独自のオープンソースイニシアチブを推進している。Icebergテーブルにより注力することで、同フォーマットを採用するスノーフレイクの顧客からビジネスを奪うことができるかもしれない。今回のTabularの買収により、当面の目標はDelta LakeとIcebergの間で完全な相互運用性を提供することである。

データブリックスは人工知能(AI)ブームに乗って成長著しいユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)である。データウエアハウスとデータレイクの機能を組み合わせたデータ管理基盤であるレイクハウス・アーキテクチャーの有用性を高め、業績を拡大させている。

傘下のベンチャーキャピタル(VC)と豊富な資金力を武器に、データの複製や取り込みを手掛ける米アルシオンとAI開発の米モザイクMLをそれぞれ1億ドルと13億ドルで買収した。

2023年9月には、シリーズI(資金調達ラウンド)で米エヌビディアやVCのキャピタル・ワン・ベンチャーズなどから5億ドル超を調達した。資金調達における企業評価額は430億ドルとなる。

【参照記事】*1 Databricks「Databricks + Tabular

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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