東京都は1月27日、「東京グリーンボンド・インパクトレポート」「東京ソーシャルボンド・インパクトレポート」を公表した。都が2021 年(令和3年)度に発行した第5回東京グリーンボンド(GB)および第1回・第2回東京ソーシャルボンド(SB)についてまとめている。
GBは地球温暖化対策など環境分野に使いみちを限って資金を調達するために自治体や企業が発行する債券。都は16年に東京GBの前身となる「東京環境サポーター債(外貨)」を発行。17年には国内地方自治体初となる東京GBを発行。以降毎年発行を継続、大阪府などもGBを発行するに至った。
第5回東京GBは、企業や都民の間にESG(環境、社会、ガバナンス)投資の一つとして着実に浸透したとして、企業や都民の投資意欲に応えていくため発行額を4回目から100億円増額し、総額400億円(機関投資家向け300億円、個人投資家向け100億円相当)を発行。都の環境施策を強力に推進するとともに、グリーンファイナンス市場の拡大に向けたESG投資の普及促進に取り組んだ。調達した資金は、4つの環境事業区分に該当する13の事業に充当。全体の約3割を「スマートエネルギー都市づくり」区分に、約5割を「気候変動への適応」区分に充当した。
SBは、企業や国際機関などが、衛生・福祉・教育などの社会的課題の解決に資する事業(ソーシャルプロジェクト)に要する資金を調達するために発行する債券。21年度発行の東京SB「東京都公募公債」は第1回、第2回とも発行額300億円、年限5年。第1回で4事業、第2回で15事業の計19事業に充当した。第1回では主にコロナ禍を背景とした中小企業制度融資預託金に充当。第2回は「防災対策」や「老朽化対策」、「住宅」などの事業区分を新たに追加することで、より多くの社会的課題への取組を盛り込み、東京ソーシャルボンドの市場へのより一層の浸透を図ったと報告している。
なお、21年度発行の東京GB、東京SBは国内自治体として初めて、第三者機関による発行後評価を取得した。東京GBはISS Corporate Solutions (ICS)、東京SBは格付投資情報センター(R&I)による評価。発行後の評価取得は、債券の適格性と透明性を確保し、投資家への訴求力を向上させることが目的で、国際資本市場協会(ICMA)が作成した原則により推奨されている。
【関連サイト】東京グリーンボンド
【関連サイト】東京ソーシャルボンド
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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