東京都は10月4日、金融による社会的課題解決に貢献するESG(環境・社会、企業統治)投資の普及・促進に向けた「東京版ESGファンド」の運営事業者にスパークス・アセット・マネジメント株式会社を選定したと発表した。同ファンドは国内の再生可能エネルギー事業に投資するとともに、運営事業者が管理報酬の一部を社会貢献性の高い事業などに寄付するスキームで、都の出資額は5億円。
2020年2月頃に「投資事業有限責任組合契約雛形」をベースに条件調整のうえ、LPS(投資事業有限責任組合)契約を締結、出資約束額を一括して払い込む予定だ。ファンドの規模について、小池百合子知事は同日の会見で「50億円以上を目指す」とした。
国際社会づくりに貢献するESGは世界的な潮流となっており、特に地球温暖化対策や女性の活躍などに積極的に取り組む企業の姿勢を投資判断に活用するESG投資は、大きな金額を呼び込むことが期待される。小池百合子都知事は今年5月に「持続可能な金融都市を目指す」として都独自のファンド創設に言及、7月に概要を発表し運営事業者の公募を開始した。
スパークス社は2006年設立の 投資運用会社。2012年に都の官民連携インフラファンドの事業者に選定され、「スパークス・官民連携グリーンエナジー投資事業有限責任組合」では全国のエネルギー分野への投資を通じた電力供給の安定化事業でファンドマネジャーを務めた。
寄付先は都が指定し、障害者の自立支援などを手掛ける社会的事業者が対象となる。ESG投資の世界的潮流の中で「立ち遅れ」を自覚している都だが、目下は「国際金融都市・東京」としてESG投資の普及を重点施策として推進してきた。同ファンドで世界水準に追いつけるか、推移が注目される。
【参照リリース】東京都 東京版ESGファンド 運営事業者の決定について

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

最新記事 by HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム (全て見る)
- 国連、炭素除去の「逆転リスク」管理規則で合意――パリ協定メカニズムに実効性 - 2025年10月22日
- GRIとCDPが気候報告の整合性マッピングを発表、企業の重複負担を軽減へ - 2025年10月22日
- GHG プロトコル、Scope 2と電力セクターの排出量算定法で意見募集開始 - 2025年10月22日
- 2050年も化石燃料41〜55%、マッキンゼー最新予測で脱炭素目標達成困難に - 2025年10月20日
- 米Gevo、SAFプロジェクトで14.6億ドルの融資保証期限を延長獲得 - 2025年10月20日