サステナブル・ファイナンスに「早急かつ抜本的な政策を」IMFが最新レポートで提言

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国際通貨基金(IMF)は10月10日、「国際金融安定性報告書(GLOBAL FINANCIAL STABILITY REPORTS)」を公表した。持続可能な金融(サステナブル・ファイナンス)と金融安定性との関連性を取り上げ、今後の政策のあり方を提言している。同報告書は冒頭、持続可能な金融について「経営上の意思決定や投資戦略にESG(環境、社会、ガバナンス)原則を組み込むこと」と定義。気候変動や汚染から労働慣行、消費者のプライバシー、企業の競争的行為まで、多くの論点が含まれる、とする。

証券投資では、「ESG原則は証券投資戦略に組み込まれており、ESG関連ファンドが管理している資産は3兆ドルから31兆ドルに達している」と見積もった。ESG原則の適用は「企業行動に影響を及ぼすことを試みる投資家のアクティビズムを反映して、株式市場で始まった後、債券市場に拡大し、環境プロジェクトの資金調達に使われる債券、いわゆるグリーンボンドがその中心」とグリーンボンドの台頭に注目している。

一方で、リスクと問題点を挙げる。まず「企業は持続可能性について、定期的に、一貫したかたちで報告していない。そのため投資家は資産運用にESG原則を織り込むことが難しくなっている。ESGスコアの第三者提供機関が、標準化された評価の提供を目指しているが、情報不足のために正確な評価にたどりつくことが難しい」点だ。「排出削減や労働基準強化などの目標達成におけるESG活動の影響測定にも不透明な面がある」として、「グリーンウォッシング(資産やファンドがESGを遵守していると虚偽の主張をすること)も懸念のひとつであり、風評リスクを高めかねない」と危惧する。

ESGファンドの実績と効果も一様ではなく、投資家、なかでも公的部門の年金ファンドにとっては「自らの投資にESG原則を取り入れることが難しくなっている」という。企業もビジネスモデルに取り入れることがメリットになるという立場であるものの「望ましい結果が出てくるまでには時間がかかり、一方で、情報開示のためには高いコストをすぐに負担する必要がある」という事情がある。

これらの課題に対して、同報告書は「持続可能な金融が重要なリスクに効果的に対処するためには主要4点で早急かつ抜本的な政策が求められる」と提言。4点を「ESG投資に関する用語の標準化と、E、S、Gを構成する活動の明確化」「投資家にESG統計の活用を促すための企業による一貫した情報開示」「より多くの国からの参加を促し、国によって異なる基準設定を回避するための多国間協調」「持続可能性への投資を促すとともに、行動を起こさないことのコストを公的に開示する政策の実施」とまとめた。

IMFは、ESG関連の問題、とりわけ気候変動に関連する問題について「マクロ経済に大きな影響を及ぼす場合には『財政モニター』や将来の『国際金融安定性報告書』などによる多国間サーベイランス(政策監視)の一環で、また国別サーベイランスの中で検討を続ける予定。

【参照レポート】持続可能な金融と金融安定性を結びつける

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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