炭素クレジット格付スタートアップのシルベラ、プロジェクト比較プラットフォームやスクリーニングツールをリリース

炭素クレジット格付スタートアップのシルベラ(Sylvera)は5月1日、炭素削減プロジェクトの発掘・比較を可能にする新製品や、プロジェクトのスクリーニングと評価を支援するソリューションをリリースした(*1)。

シルベラは2020年に英国で設立され、炭素クレジット格付サービスを提供するスタートアップだ。カーボン・プロジェクトに関する包括的なインサイト(洞察)を生み出す独自のデータと機械学習を活用し、企業が質の高い炭素クレジットを評価、投資するのを支援する。

企業に対して気候変動対策への圧力が高まる中、ボランタリーカーボンマーケット(VCM)は急速な成長を遂げている。しかし、透明性の低さ、市場・供給の断片化、ベストプラクティスの不明確さなど、大きな課題に直面している。

シルベラは、データドリブンなインサイトを提供して効率的に実行することこそが、こうした複雑な状況を乗り切る鍵だと見ている。そのため、市場参加者が質の高いカーボン・プロジェクトを見つけ、適格性を確認するための時間と複雑さを軽減できるよう、同社はプラットフォームを進化させている。

今回リリースした「シルベラ・カタログ(Sylvera Catalog)」は、バイオ炭から埋立地メタンに至るまで、様々な技術を網羅する約20,000のプロジェクトを発掘、比較できる。

サプライヤーと結びつけ、クレジットの調達や投資を一箇所で行えるようにする、ボランタリークレジット発行団体のVerraやGold Starndardなど9つの主要レジストリデータを統合した。データセットは毎日更新され、今後もさらに多くのレジストリからプロジェクトを追加していく予定である。

また、シルベラは「Screenings」というツールもリリースした。同ツールは、炭素会計、追加性(#1)、永続性、コベネフィット(#2)などのプロジェクトの品質、主要な特性、リスク要因を提供する

Screeningsは、品質とリスクに関する重要なシグナルを早期に提供するよう設計されており、より詳細なデューデリジェンスを実施する前に、プロジェクトをスクリーニングすることができる。

同ツールは、REDD(森林伐採の削減)、ARR(植林、森林再生、緑化)、IFM(林業管理の改善)、ICS(改良されたクックストーブ)、RES(再生可能エネルギー源)、草地、農地、埋立地メタンという8種類のプロジェクトに対応する。

(#1)追加性…温室効果ガス(GHG)の排出削減や炭素除去にカーボンクレジットプロジェクトで得られる資金が必要なこと。つまり、追加性があるプロジェクトは、クレジットの販売による収益がなければ、排出削減や除去が行われなかったプロジェクトを指す。

(#2)コベネフィット…相乗便益を表し、GHG排出量の削減など温暖化対策と同時に得られる、エネルギー効率の改善や大気汚染の改善など、異なる分野での好ましい効果。

【参照記事】*1 シルベラ「Introducing Project Catalog & Screenings: Expanding Access to High-Quality Carbon Market Projects

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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