シンガポールはブロックチェーンを活用したシステムNULSで、輸入に偏重する同国の食の安全性を管理していく。8月27日付でDecryptが報じている。
シンガポールは食糧の90%を輸入に頼る国家だ。しかし、Singapore Food Agency(SFA)が、2019年の4月から12月の間に3,825種類の果物や野菜の試験を実施したところ、13%が基準値以上の殺虫剤や化学残留物が検知されていることが報じられている。これを受け、シンガポールでは消費者に届く食料に潜在的な危険性があることがわかっている。
こうした危機的状況を受け、SFAはNFC・QRコード技術ベースのソリューション開発を行うveriTAG、航空宇宙や電子機器などをの総合工学企業SG Engineeringと協力してブロックチェーンベースの食品トラッキングシステムを開発、生産から販売までを追跡する取り組みを始めている。
veriTAGのシステムは、シンガポールを拠点に置くNULS財団によってオープンソース化されているNULSブロックチェーンを基盤にして開発されている。同財団は先日ビットコインとイーサリアムを連携させるクロスチェーンNerve Networkもリリースしている。ST Engineeringはセンサーなどのハードウェア類で同プロジェクトに貢献している。
veriTAGは単なるサプライチェーンの管理に留まらず、より多くのユーザーがプロジェクトに参加する動機づけにも取り組んでいる。ユーザーはveriTAGのシールをアプリを通じてスキャンすることで獲得できる同ポイントは、NULSトークンやシンガポールのデジタル通貨に換金できるような動線も考えられている。同システムは、中国の重慶市にて9月に開催される2020年のSmart China Expoでデモンストレーションを行う予定だ。
食品の安全性の確保のためにブロックチェーンを活用する試みは、IBMやWalmartなどテック企業が取り組みを始めており、一部の大手企業で供給元から販売までの追跡できるようなシステムが稼働している。シンガポールによる食品のトレーサビリティを目指す取り組みはこうした動きに追随できるのか、注目していきたい。
【参照記事】Singapore to Attempt Blockchain Food Safety System
高橋奈夕
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