シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社は2月2日、2022年第4四半期のサステナブル・インベストメント・レポートの一部を公表した。シュローダーは、企業とのエンゲージメントや実態調査など、サステナビリティへの取り組みに関するレポートを四半期毎に作成しており、今回はサステナブル投資グローバル・ヘッドのアンドリュー・ハワード氏が、23年のサステナビリティの展望、新興国における責任ある購買を促進するために投資家は何ができるかを解説している。
ハワード氏は、23年のサステナビリティの展望として注目すべき5つのトレンドとして①気候変動と政治の意思②自然資本③生活費およびその他の社会的ストレス④アクティブ・オーナーシップとインパクト⑤規制――を挙げた。
このうち「生活費およびその他の社会的ストレス」については、日本でも食料品やエネルギーといった生活に欠かせない品目の値上がりが続く。ハワード氏は「23年には圧力は緩和されるかもしれないが、貧困に注視が必要。家計の資金不足に対応できる財政の余裕を持つ国はほとんどなく、社会的ストレスはさらに強まる可能性がある」と指摘。22年はCOP27や生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)に向け、気候変動や自然が大きな話題となったが、今年は「人的資本管理、人権、ダイバーシティ&インクルージョンといった社会的課題により大きな焦点が当てられる」と予測した。
レポートでは、エマージング株式ファンドマネジャーおよびエマージング・サステナビリティリサーチヘッドのジョナサン・フレッチャー氏が「新興国における責任ある購買を促進するために、投資家は何ができるのか」というタイトルで考察している。
「現在のグローバルの購買パターンは全体として持続不可能であり、気候変動、生物多様性の損失、汚染の原因となっている。人口の増加と経済の発展に伴い、日常的な商品やサービスの生産に使用される素材の量は急速に増加し、私たちが地球上で生活するために必要な天然資源を枯渇させている。新興国は、購買活動の負の影響が最も大きい地域だ」とフレッチャー氏は警鐘を鳴らし、「よりサステナブルな未来、つまり経済成長が環境の悪化に依存しない未来を築くには、先進国、新興国を問わず、世界中で購買パターンを変える必要がある」と訴える。
期待されるのがインパクト投資だ。「インパクト投資を通じて、よりサステナブルな未来に向けて流れを変えることに貢献する企業に投資することが可能」とフレッチャー氏。「購買全体を減らすだけでなく、有害なものから責任ある購買へとシフトする必要がある。森林への害を減らし、炭素排出量を減らし、プラスチック包装を減らし、リサイクルによって廃棄物を減らす必要がある。インパクト投資家は、このシフトで重要な役割を担っている」と説く。
レポートでは、「企業レベルでのポジティブな変化の推進」として、新興国におけるプラスチック、電子機器廃棄物の問題に取り組んでいる中国とブラジルの2企業を紹介している。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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