モルガン・スタンレー・キャピタル・パートナーズ(以下MSCP、#1)が4月2日、エネルギー効率とサステナビリティに特化したソリューションを提供するリソース・イノベーションズ(Resource Innovations)を買収した(*1)。
MSCPは、業界特化型の米プライベートエクイティファームBVインベストメント・パートナーズおよび他の株主からリソース・イノベーションズの支配権を取得した。リソース・イノベーションズの創業者であるローレン・カセンティーニ氏は、取引完了後も最高経営責任者(CEO)の役職に留まるとともに、主要株主であり続ける。
リソース・イノベーションズは2016年に設立され、サンフランシスコ・ベイエリアに本社を置く。エネルギーコスト、廃棄物、および温室効果ガス(GHG)排出量の削減、送電網のレジリエンス強化を目指す。
エネルギー効率化と脱炭素化の分野で、電力会社、政府機関、企業を対象に、データドリブンな分析やスマートグリッドのオペレーション最適化などのアドバイザリー・サービスを行っている。また、エネルギー効率向上のためのDSM(#2)プログラムに加え、スマートグリッドやデマンド管理、クリーンエネルギーの導入に資するソフトウェアも提供する。
照明、耐候化、制御など従来のエネルギー効率化に加え、電気自動車(EV)充電、分散型太陽光発電(#3)、デマンドレスポンス(#4)といった新たな成長分野で、電力会社と協働するリーダーとしても知られる。また、Inc.誌が毎年発表する米国で最も急成長している民間企業ランキングInc.5000に3度ランクインした。
2019年以来、880件のエネルギー関連プロジェクトを管理し、北米、欧州、太平洋地域で120社超の顧客を抱える。
カセンティーニ氏は「MSCPの投資は、我が社が過去数年間に成し遂げた驚異的な成長を評価したものであり、チームが革新的で差別化されたソリューションを提供するために懸命に努力していることを証明するものだ」と述べた(*1)。
(#1)モルガン・スタンレー・キャピタル・パートナーズ…モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント傘下にて、ミドルマーケット(年間売上高が1,000万ドルから10億ドルの企業)に特化したプライベートエクイティチーム。
(#2)DSM…デマンドサイドマネジメントの略で、電力等のエネルギー需要家への働きかけを通じて需要量をコントロールすることにより、効率的で望ましい需給関係を形成しようとするもの。
(#3)分散型太陽光発電…電力を遠隔地の大型発電所ではなく、消費地近くの小型太陽光発電所でつくり、効率よく届ける方法。
(#4)デマンドレスポンス…電力の需要量を供給量に合わせる手法。
【参照記事】*1 リソース・イノベーションズ「Morgan Stanley Capital Partners Acquires Resource Innovations」

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