農林中央金庫は4月1日、パーム油セクターおよび森林セクターについて、投融資検討時に顧客の環境・社会課題への対応、配慮の状況を確認する取組方針を制定したと発表した。同金庫は環境・社会に多大な影響を与える可能性が高いという観点から、2019年4月に石炭火力発電セクターに関する方針を制定しており、同日以降はパーム油および森林セクターにおける投融資検討時に対応を強化していく。
パーム油は、チョコレート、マーガリン、スナック菓子、石けんなど多様な消費財に利用され、生産・消費量が増加している。一方で、パームヤシのプランテーション開発に伴い、先住民の土地権を巡る紛争、泥炭地の開発、熱帯雨林の伐採・野焼きによる森林火災および煙害(ヘイズ)、生物多様性の毀損などの他、児童労働や低賃金などの労働者の人権といった環境問題、人権問題が指摘されている。
同金庫でもパーム油生産のためのプランテーション・搾油事業を行う顧客にファイナンスを実行する際に、顧客の環境・社会配慮の実施状況を確認する。また、パーム油事業に対してファイナンスを実行する際には、顧客に対し資金使途に関する同金庫の取組方針との適合性、RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil)の認証取得を確認する。また、認証未取得の場合には、取得にかかる行動計画などの確認を行う。
顧客の事業を通じ環境・社会に深刻な影響が懸念されるといった情報を入手、同金庫の取組方針への不適合が判明した場合は「個別デューデリジェンス(実態把握や影響調査など)を実施し、アクションプランなどを確認のうえ、慎重に対応を検討」する。必要に応じて、当金庫の経営レベルでの協議を経て、ファイナンスの可否の判断を行う。
森林セクターでは、森林破壊を防ぐ観点から、顧客の環境・社会配慮の実施状況を確認し、環境保全への貢献に寄与することを目指す。森林伐採事業を新興国において行う企業にファイナンスを実行する際には、資金使途に関する取組方針との適合性、国際的に認められている認証(FSC、PEFC)の取得を確認する。未取得の場合には、取得にかかる行動計画などの確認を行う。パーム油セクターと同様に、必要に応じファイナンスの可否の判断を行う。
【参照記事】環境・社会に配慮した特定セクターに対する取組方針の強化について

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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