企業が業績を重視するだけでなく、社会や環境へのポジティブ・インパクトの創出を目指す「ステークホルダー資本主義」が注目されている。総合コンサルティングのアクセンチュアは2月17日、世界経済フォーラム(WEF)との共同調査「Seeking New Leadership(新しいリーダーシップを求めて」の結果を公表、この中でステークホルダー資本主義の時代に重要となる、新たなリーダーシップの実現に必要な5つの要素を挙げた。WEFとアクセンチュアは、これを「レスポンシブル・リーダーシップ」と名付けている。
調査は、WEFのヤング・グローバル・リーダーズ、新興グローバルシェイパーズコミュニティのメンバー(新進気鋭のリーダー)、CEOをはじめとする経営層、従業員や消費者、その他のステークホルダーなどのグループ2万人以上を対象に実施。さらに企業業績の計量分析やその他の独自調査に基づいて作成された。企業が今後10年にわたってさまざまな課題に対処しながら、成長加速と社会的変革を達成するためには、経営層に幅広い属性および人間的特性が求められると指摘し、レスポンシブル・リーダーシップ”の5つの要素を示す。
筆頭は「ステークホルダーのインクルージョン」。意思決定においてさまざまなステークホルダーの立場を考慮し、多様な人々が発言権と帰属意識を持てるようなインクルーシブな環境を整備することで、あらゆる層の信頼を確保し、それらをポジティブなインパクトにつなげることだ。
続いて挙げられたのが「感情と直感」。真の人間らしさを持ち、思いやりや謙虚さ、寛容さを示すことで、自組織のメンバーのコミットメントを高め、創造性を解き放つこととしている。これに、企業およびステークホルダーの間において持続可能な繁栄という理念を共有できるよう働きかけ、全員が共通の目標に向かって前進できるようにする「ミッションとパーパス(企業の存在意義)」、新しいテクノロジー群を活用したイノベーションによって企業の社会的責任を果たし、新たな社会的価値を創出する「テクノロジーとイノベーション」、データを重視した継続的な学習と知識の共有・やりとりを通じ、組織の成長と社会的変革に向けて絶えず進歩し続ける「知性と洞察」を並記する。
アクセンチュアはレポートについて「企業が繁栄するためには、環境面や社会的、経済的な課題に対処する必要性が高まっている」と指摘。そのうえで「新しいテクノロジーがもたらすポジティブな潜在能力を引き出すためには、企業による社会的な役割の再定義が必要になっている」と提起している。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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