ESG投資の成長は投資家のニーズが主導。ナティクシスIM調査

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ESG(環境、社会、企業統治)投資が世界的に加速する中、投資運用大手のナティクシス・インベストメント・マネージャーズ(ナティクシスIM)は4月22日付で発表した調査レポートで「ESGの勢いが継続していくのか、バブルへ向かっているのか。答えは投資家が最終的に何を達成したいのかをより明確にできるかであり、自分たちの価値感に沿ったESG戦略を行うだけでなく、投資成果と社会的な効果の両方に対して現実的な期待値を設定できるか」と考察している。

調査は、機関投資家、プロのファンド投資家、 投資アドバイザーに実施したESG戦略の導入に関するグローバルな調査で、未発表だったものを分析。さらに、結果をナティクシスが最近発表した個人投資家を対象とした調査結果と照らし合わせた。

まず、ESGを導入しているプロの投資家は2018年以降18%増加しており、導入の主要な目的は、 投資資金を投資家や企業の価値感と一致させることだった。さらにプロの投資家の4分の3が、ESGの考慮は健全な投資に不可欠と指摘。企業行動に対して、アクティブ・オーナーシップの影響力を行使する機関投資家が55%増加したことがわかった。

20年にはESGファンドへの記録的な資金流入や、過去最高となったESG商品の新規設定などESG投資の成長は加速。21年、プロのファンド投資家の68%が ESG商品の拡充を計画している。背景には投資家の需要があり、ファンド投資家は、投資家の社会的意識の高まり(75%)とESG投資が主要投資家間でその地位が確立されたこと(50%)を指摘している。その他のESG投資の需要増の理由として、投資家がグリーン経済の一翼を担うことを望んでいること(42%)や、気候変動に対する懸念(36%)などが挙げられる。同社は、この傾向が今後も続くか、高騰して実体経済から大幅にかけ離れ終了するのかという点で、「投資家が最終的に何を達成したいのかをより明確にできるか、 自分たちの価値感に沿ったESG戦略を行うだけでなく、投資成果と社会的な効果の両方に対して現実的な期待値を設定できるか」にかかっている、と見る。

一方で、ESG投資に関してプロの投資家、個人投資家、および彼らのアドバイザーが同じ認識を持っているかどうかについて疑問を示している。プロのファンド投資家の77%、機関投資家の75%が、健全な投資にはESGへの考慮が不可欠であると考えるようになっている。投資アドバイザーも同様で、投資アドバイザーの59%が、5年後にはESG投資は業界全体の標準的な慣行になると予想する。しかし、ESG効果の統一された測定方法は存在せず、投資家にとって最大の課題となっている。

今回の調査では、ESG投資を行うための単一の共通したアプローチは存在せず、企業は異なる財務・非財務上の目的に対応できるよう、リスク・リターン特性が異なる複数のアプローチを採用していることがわかった。 これに対し、プロの投資家はESG分析を投資プロセス全体の中に統合し企業のパフォーマンスに重大な影響を与える可能性のある問題を考慮する「統合」を支持、アクティブ・オーナーシップ 、インパクト投資、テーマ別投資などに注力。反対に、非倫理的または有害とみなされる企業や産業を除外する「ネガティブ・スクリーニング」は指示されなくなっており、採用しているファンド投資家の数は19年から20年にかけ15%減少した。

ナティクシスIMの北アジア代表を務める加藤欣司氏は「金融市場ではESG投資がもたらす恩恵や様々な課題にも焦点が向けられ始められている。今回の調査では、 ESGを導入する動機が近年変化しており、 ESG投資における財務・非財務的な目的を見極め、それぞれを達成するための戦略を策定する重要性が増していることが明らかになった。 コロナ禍の世界において、 ESG投資は従来にも増して重要な投資手段となっている」と総括している。

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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