米マイクロソフト(ティッカーシンボル:MSFT)は12月6日、炭素除去スタートアップMombakと、アマゾン熱帯雨林の再生プロジェクトからの炭素除去クレジット契約を締結したと発表した(*1)。自然ベースの炭素除去クレジットとしては世界最大級となる。
今回の契約を通じ、Mombakはブラジルのアマゾン生物群の森林破壊地域で約25の森林を再生し、最大150万トンの炭素除去クレジットを供給する。これらの森林には、絶滅危惧種を含む100種以上のブラジル固有種が少なくとも3,000万本含まれている。このプロジェクトは、アマゾンの疎外されたコミュニティーに何百もの直接・間接雇用を創出することも見込まれている。
Mombakは2021年に創業した炭素除去スタートアップだ。同社のミッションは、質の高い炭素除去プロジェクトを開発し、ブラジルの劣化した牧草地を在来種や生物多様性の高い樹種を使って再植林することで、アマゾンの森林を再生することである。これらのプロジェクトによって大気中から炭素を除去し、高品質の炭素除去クレジットを生み出す。
マイクロソフトに炭素除去クレジットを供給するため、Mombakが立ち上げた「アマゾン森林再生基金(Amazon Reforestation Fund)、(#1)」は、既に大規模な森林再生プロジェクトを開始している。
このプロジェクトには、セドレラ・フィッシリス、カスタンヘイラ、イタウバ、マホガニーといった絶滅危惧種の数十万本の苗木を含む、90種以上のブラジル原産の樹木が含まれている。また、同プロジェクトは地域社会にもポジティブインパクトをもたらしており、地元住民に50以上の正規雇用を創出した。
マイクロソフトにとってMombakとの契約は、単一の炭素除去クレジット契約としては過去最大規模となる。マイクロソフトは、2030年までにカーボンネガティブを実現するための取り組みを続けている。Mombakとのプロジェクトのように、社会的・環境的に大きなベネフィットをもたらす、スケーラブルで質の高いプロジェクトに投資する方針だ。
(#1)アマゾン森林再生基金…アマゾンの熱帯雨林の原生的な森林生態系を維持し、生物多様性のある森林の再生を通じて大規模な炭素除去プロジェクトを構築するために、世界中の投資家から1億ドルを調達した。Mombakが初めて運営するファンドであり、23年にクローズした。
【参照記事】*1 マイクロソフト「Mombak e Microsoft assinam acordo histórico de reflorestamento da Amazônia brasileira」
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