信用格付け大手の米ムーディーズ・インベスターズ・サービスは4月14日、同社が2019年に民間セクターの発行体を対象に行った7,637の格付のうち、33%においてESGリスクを重要な信用評価として考慮したと公表した。これは、格付分析におけるESGの重要性を強調するものだ。
ESGを織り込んだ約2500の格付のうち、88%はガバナンス課題、20%は社会課題、16%が環境課題を評価した。多くの場合、複数のESG課題を考慮したとしている。
ムーディーズ上席副社長Robard Williams氏は、「ESGに関する課題の中でも、ガバナンスを最も多く考慮した。ガバナンスが格付の重要な評価事項であることが全世界、全セクターに知られてきている。2019年の格付におけるESG評価は、ムーディーズが定義した環境、社会、ガバナンス・リスクの全ての主要な分野に及んでいる。」と述べた。
格付におけるESG要因評価が全セクターに普及した一方で、環境・社会・ガバナンスの特定の課題に対して取り組まなければならない水準は、セクターや発行体ごとに異なる。例えば、環境課題が重視されるのは自動車産業や石炭・鉱業、規制のない公的産業や電力産業といった環境リスクの高い産業で、既にムーディーズは環境ヒート・マップ・レポートで、こうした産業を特定している。
「ESGに関する課題は、信用評価において重要性が増している。これは、環境規制が厳しくなり、また、人々の気候変動、サステナビリティ、ダイバーシティに対する意識が高まっているためだ。」とムーディーズ上席副社長Swarni Venkataraman氏は述べた。
ESG要因を考慮した格付のうち、約19%がマイナス評価で、約12%は、プラス評価、69%は、中立だった。ただし、3つのESG課題でマイナス評価の分布には違いがある。マイナス評価は、ガバナンス課題では18%、環境課題では、20%だったのに比べ、社会課題では、27%と比率が大きかった。
【参照リリース】Moody’s – ESG risks material in 33% of Moody’s 2019 private-sector issuer rating actions

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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