GSG国内諮問委、「インパクト投資拡大に向けた提言書2019」を公開。2025年に向け8つの取り組み

Global Steering Group for Impact Investment (GSG)国内諮問委員会は「インパクト投資の拡大に向けた提言書」およびキービジュアルを4月19日、ホームページで公開した。インパクト投資は社会面・環境面での課題解決を図るとともに経済的な利益を追求する投資行動で、同委は2015年に同名の提言書を公表、今回のレポートは続編にあたる。レポートでは、インパクト投資に関するこの5年間の日本国内、世界の変化と共に「わが国におけるインパクト投資の発展に向けて、範となる取組みは何か」「各主体に求められるアクションは何か」をまとめている。本編は約120ページで、キービジュアルは13ページのサマリー。

15年版は日本でまだインパクト投資という言葉がまだ馴染みがなかったが、5年間で日本にでも関心や取組みが徐々に増加、前回の提言書にある7つの提言のうち「休眠預金の活用」や「ソーシャル・インパクト・ボンドの導入」「社会的インパクト評価」の浸透などが実現している。19年版は巻頭で「現在、世界のインパクト投資の市場規模は推計で5020億ドルに達し、ESG投資への注目と相まって、投資家のマインドは大きな変化を遂げ、関連する金融商品も広がりを見せている」と提起。15年9月に国連総会で採択された持続可能な開発目標(SDGs)は「達成には毎年約5 ~ 7兆ドルが必要と言われるが、現在の資金規模は1兆ドルに過ぎない。目標達成のためには民間資金の流入加速が必須で、地球環境や人権の尊重と調和のとれた発展には、経済的合理性のみを追求する従来型の投資では限界がある。その意味でインパクト投資が果たせる役割は極めて大きい」と説く。

日本では「14年当時169億円だったインパクト投資の市場規模は、2019年には4480億円となった。機関投資家の参入も続いている。世界では年金基金や生命保険会社がインパクト投資に取り組む例が増加しており、日本でも第一生命保険株式会社、野村アセットマネジメント株式会社など、機関投資家や資産運用会社、地域金融機関が参画を始め、隣接領域の動向も活発。15年には年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がPRI(責任投資原則)への署名を公表、17年には国内株式において3つのESG指数を選定、運用を開始し、機関投資家、国内企業に大きなインパクトをもたらした」と俯瞰する。

そのうえで、2025年に向けて「インパクト投資の拡大に必要な8つの取組み」としてまとめている。具体的には①投資およびインパクト投資に関するリテラシー向上②金融商品や資金供給チャネルの充実③投資家への情報提供の充実・投資家の行動変容の促進④事業者の成長の機会づくりとそれを支える組織・機関の充実⑤社会的インパクト評価およびマネジメントの手法の確立・普及⑥インパクト投資の概念的整理の充実、クオリティの維持⑦社会実装と普及に向けた枠組みづくり⑧多様な担い手のつながりの強化とコミュニティ形成の促進――を提言した。

GSGは13年6月の先進国首脳会議で、当時議長国のイギリス・キャメロン首相の呼びかけにより、インパクト投資をグローバルに推進することを目的に創設された国際組織。各国の国内で諮問委員会を組成することが参画要件となっており、日本では2014年に「G8社会的インパクト投資タスクフォース国内諮問委員会」として発足、国内の各界有識者による委員がインパクト投資に関わる情報共有や検討を行っている。

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HEDGE GUIDE編集部 ESG投資チーム

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