「自分らしく幸せに生きる」を金融サービスはどうサポートできるか?京都大学とお金のデザインが共同研究

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京都大学は1月30日、「『しあわせ』の再定義と定量的尺度作成のための調査研究 ―個人の価値実現をサポートする金融サービスのあり方を哲学的見地から検討」の成果として論文(ホワイトペーパーと関連資料)を公表した。研究は、株式会社お金のデザイン取締役副会長兼ファウンダーの廣瀬朋由氏と、同大学大学院文学研究科哲学専修の出口康夫教授、大西琢朗特定准教授が産学連携で行われた。各個人が自分固有の幸福観を可視化し、それを実現するための適切な意思決定をサポートする尺度として作成した「ライフ・インテグレータ」を提案している。

本研究は、大西特定准教授が当時の人社未来形発信ユニットで運営・配信したオンライン公開講座「立ち止まって、考える」がきっかけ。講座を聴講した廣瀬氏が、出口教授・大西特定准教授に「しあわせ」についての共同研究を持ち掛けたことから始まった。哲学者と金融機関の共同研究は日本のみならず世界でも珍しい事例だが、関係者は「『価値とは何か』という問題意識を共有している点で自然な組み合わせと言える」としている。

「お金」だけを扱う従来の金融機関の枠を超え、より包括的な価値としての「しあわせ」にアプローチしようとする廣瀬氏が、「価値の提案」を哲学のミッションとして掲げ、研究・発信活動を行ってきた出口教授・大西特定准教授にはたらきかける形で2021年にスタートした。

研究の目標は、「各個人が自分固有の幸福観を可視化し、それを実現するための適切な意思決定をサポートする尺度」の作成だった。人それぞれの「幸福」を構成するファクターとしてどのようなものを設定すべきか、古代ギリシャ以来の哲学的幸福論や、20世紀以降大きな発展を遂げた心理学・行動経済学などにおける経験的な幸福/ウェルビーイング研究の調査を踏まえて検討し、それを本研究独自の「ライフ・インテグレータ」尺度としてまとめていった。

ライフ・インテグレータは、「幸せ」にかかわる8項目の質問に対し自身の現状認識と理想を点数化して回答することで、自身の幸福観と現状のギャップを明確化させ、今後の意思決定に役立てることができる。今後は、お金のデザイン社が取り組む資産運用を中心とするさまざまな現場で、どのように活用できるかを検討していく。

公表にあたり、廣瀬氏は「人生と資産形成とは表裏一体。無色透明・客観的な価値でしかない『お金』を、自分の『しあわせ』色に染めた『お金』として提案していくことが、今後のあるべき金融機関の使命だと考えている。さらに、本研究が資産運用にとどまらず、生活の指針にまで活用できるよう拡張していきたい」とコメントしている。

ここ数年で社会が激変する中、そこに生きる私たち自身の価値観もまた大きく変容してきている。コロナ禍や戦争を乗り越えて未来でより良い社会が実現されたとき、そこではどんなお金の流れが生まれているだろうか。自分らしく生きることや幸せの実現、価値などについて社会全体で考えを深める中で、私たちとお金の関係もまたより良いものになっていくことを期待したい。

【ホワイトペーパー】「しあわせ」の再定義と定量的尺度作成のための調査研究~個人の価値実現をサポートする金融サービスのあり方を哲学的見地から検討~
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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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