Facebookは10月28日、Facebook Connectの講演内で社名を「Meta」に変更することを明らかにした。同社の社名変更は、これからメタバース(仮想空間)事業へ注力するという意思表示を反映したものである。なお、社名変更後もFacebook、Instagram、 WhatsAppといったサービスの名称は変更しないという。
Metaの公式サイトでは、メタバースについて「ソーシャルコネクション、人と人とのつながりの進化した形である」と説明された。メタバースは一つのものではなく、相互運用可能な資産や体験によって結ばれた、概念的な集合体と言える。例えば、収集可能なNFTはメタバース内で3Dアバターとなり、所有者は、仕事、遊び、運動、社会的交流など、既存サービスの枠組みを超えたあらゆる種類のWeb空間に持ち込むことが可能だ。
Metaのメタバース製品責任者Vishal Shah氏は、メタバースに関して「人々はNFTのような限定版のデジタルオブジェクトを簡単に販売し、自分のデジタルスペースに展示することで、他者へ安全に転売できるようにもなる」とコメント。Metaの目標として「可能な限り多くの事業者がメタバースでビジネスを構築できる方法を提供すること」と言及した。
既にMetaは、今後2年間で5,000万ドルをメタバースに関する研究とパートナーシップに投資し、今後5年間でヨーロッパ全体で1万人の雇用を目指すことを発表している。
一方でMetaは、過去にプライバシーやセキュリティ、フェイクニュースやヘイトスピーチなどの抑制に関して、長年にわたって批判を受けてきた側面を持っている。特にプライバシーやセキュリティの維持は、メタバースを構築するにあたっての最重要課題だと言えるだろう。
これに対してMetaは講演内で、これらの批判をしっかりと受け止めた上で、メタバースの構築に「責任を持って」尽力すると述べている。また、プライバシーへの配慮はもちろん、外部のクリエイターや企業とのオープンなコミュニケーションを行うことに重点を置きつつ、メタバースを開発していくとの姿勢を明らかにした。
Metaは、暗号資産業界への進出の先駆者であると表現することができる。2019年6月には、複数の法定通貨で構成されたバスケット資産に裏付けられるステーブルコイン「Libra」構想を発表した。同構想は世界中の規制当局から反発を招き、中断を余儀なくされたものの、その理念は、その後発足した単一の法定通貨あるいは資産に裏づけられたステーブルコイン「Diem」に受け継がれている。
Metaによるメタバース参入を足掛かりに、今後複数の企業がメタバースへ進出することが予想される。メタバースは、暗号資産のユースケースとしても注目されているため、今後もその動向を注視しておくべきだと言えるだろう。
【参照記事】https://twitter.com/Meta/status/1453795115701440524
株式会社techtec リサーチチーム
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