ミュンヘン再保険傘下の資産運用会社MEAG、持続可能な林業関連ファンドで310億円調達。

ミュンヘン再保険グループの資産運用会社MEAGは2月28日、「MEAGサステナブル・フォレストリー・エクイティ・ファンド」のファーストクロージングで、2億700万ドル(約310億円)の出資を集めたと発表した(*1)。

この持続可能な林業に関連したファンドには、ドイツの保険会社及びドイツ株価指数(DAX)構成銘柄の企業年金が出資した。同ファンドを通じた最初の投資は2024年前半に行われる予定だ。

米国、ニュージーランド、オーストラリアの林地に焦点を当てる。地域的なリスク分散に加え、投資クラスの分散は、対象となる森林や利用形態の多様性によって確保する。また、EUのサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)第9条に従ってディスクロージャーを行い、それに応じてサステナブルな投資戦略を採る。

サステナビリティの観点から企業活動を評価するEUタクソノミー(分類)の生態学的に持続可能な森林経営を実践する企業に投資すると共に、国連の持続可能な開発目標(SDGs)への貢献も目指す。

同ファンドの資産総額の5%は新規植林に投資されることになっており、その目標額は5億~7億ドルである。

現在の資本市場の厳しい状況に鑑みると、2億ドルを超えるファンドのファーストクロージングは成功したとMEAGは見ている。

森林投資の特徴の1つは、他の投資クラスとの相関性が低いことである。これは、樹木が資本市場の動向とは無関係に成長するためだ。さらに、持続可能な建設や資材を求める傾向に後押しされ、世界的に木材需要が高まっているため、長期的な価値成長の可能性もある。

機関投資家は長期的なリターンとサステナビリティの両立を期待できる。同ファンドへの投資を通じて、ポートフォリオをさらに幅広く分散することが可能だ。また、森林投資により生物多様性を促進し、大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収すると共に、雇用やレクリエーションの場も提供できる。

さらに、人類最古の再生資源である森林は、収入を得るための多様な方法を提供し、魅力的なリスク・リターンを提供する。

同ファンドは、ルクセンブルク籍のオルタナティブ投資ファンド(SCSp SICAV-RAIF)であり、オルタナティブ投資ファンドマネージャー(AIFM)であるHauck & Aufhäuser Fund Services S.A.が運用する。

ファンドの運用チームは、対象地域の森林資産に投資し、積極的な資産管理(植林、管理、伐採計画、マーケティング)を通じて価値成長を生み出してきた長年の経験を持つ。また、森林を購入し管理する際には、気候変動や自然災害から生じるリスクに関して、ミュンヘン再保険の専門知識とデータを活用することもできる。

ミュンヘン再保険グループは09年以来、12か国でこのアセットクラスに投資している。MEAGでは、林業資産クラスはオルタナティブ資産部門(不動産、インフラ、再生可能エネルギー、自然資本、林業・農業)の一部であり、200人以上のスタッフを擁している。

【参照記事】*1 MEAG「28.02.2024 MEAG Sustainable Forestry Equity Fund with first closing – over USD 200 million for sustainably managed forests in the USA, Australia and New Zealand

The following two tabs change content below.

フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
業務窓口
fortuna.rep2@gmail.com