EU、先端材料分野の新たなイニシアチブ公表。金属ナノ粒子、ナトリウムイオン電池、サーモクロミックマイクロカプセルなど開発支援

欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)は2月27日、グリーンとデジタルの二大転換に大きく関係する先端材料分野において、欧州産業のリーダーシップを強化するための新たなイニシアチブを公表した(*1)。新素材技術の開発を支援し、EUの競争力向上、戦略的自律性と経済安全保障の強化を目指す。

同イニシアチブは、EUが新素材技術の最前線に立ち続け、開発、試験、展開能力を支援することで、EUの長期的な競争力を強化することを目的としている。先端材料に関する欧州共通のアプローチに向けた第一歩であり、さらなる行動への土台を築くものだ。

また、様々な施策を講じ、代替品やリサイクル・再利用を支援することにより、重要素材への依存を減らすことで、EUの戦略的自律性と経済安全保障を強化するものでもある。

先端材料とは、優れた性能や特殊な機能を発揮するように意図的に設計・加工された材料のことで、今日の科学的認識と計算能力のおかげで、かつてないスピードで開発することができる。

欧州委は重点的に開発を支援する先端材料の例として、太陽電池パネルのエネルギー変換効率を高める金属ナノ粒子、サステナブルなエネルギー貯蔵を可能にするナトリウムイオン電池を挙げている。

また、建物の室内温度を自動的に調整するサーモクロミックマイクロカプセル、フレキシブルエレクトロニクスを実現するためのエラストマーとナノ結晶も、先端材料の一例として挙げられている。

これらは、エネルギー、エレクトロニクス、建設、モビリティの革新の基礎となるものであり、グリーンとデジタルの移行に不可欠なものだ。

最初の研究分野リストは、今後設置される技術評議会との対話を通じて、さらに拡大される見込みである。先端素材の需要は今後数年間で大幅に増加すると予想されており、例えば、再生可能エネルギー、バッテリー、ゼロ・エミッション建築物、半導体、医薬品・医療機器、人工衛星、防衛装備品向けなどが挙げられる。

ECはEU加盟国、業界関係者などに対し、先端材料に関する欧州の研究とイノベーションのエコシステムを強化し、革新的な材料を迅速に市場に投入することを提案している。

これには、先端材料研究とイノベーションのための欧州デジタルインフラである「マテリアル・コモンズ(Material Commons)」の開発が含まれる。これにより、人工知能(AI)も活用した管理された環境での新しい先端材料の設計、開発、試験が大幅に加速される。

また、資本投資と融資へのアクセスを増やし、先端材料の生産と使用の促進を目指す。この行動パッケージの一環として、EUの研究開発プログラム「ホライゾン・ヨーロッパ(Horizon Europe)」の下で、2025年から2027年にかけて5億ユーロの投資を目指す。

技術革新のための調達、基準設定、および欧州の労働力が必要なスキルを持つようにするための欧州技術革新研究所(EIT)との先端材料アカデミーの立ち上げも含まれる。

【参照記事】*1 欧州委員会「commission presents new initiatives boosting European industrial leadership in advanced materials

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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