日銀総裁の黒田東彦氏は24日、大阪市で行った講演後、地元経済界との質疑応答で米Facebookの独自仮想通貨Libra(リブラ)について考えを述べた。「Facebookは膨大な顧客基盤を背景にしており、仮にリブラが導入されれば急拡大し、社会へのインパクトは巨大なものになり得る。今後ともG7、G20を通じて国際的な共通認識と適切な規制を考えていかなければならない」と見解を示したとロイターが報じた。
さらに黒田氏は、「いわゆるステーブルコインについては、社会的な信認が得られないと後で問題が起こる可能性があり、国際的な協調・協力が必要だ」と述べた。また為替レートにも言及し「為替は経済・金融のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましい」と指摘し、為替相場が日本の物価や経済に与える影響について引き続き注視する姿勢を示した。
今月13日、フランスのブリュノ・ル・メール経済・財務大臣はドイツと欧州においてリブラプロジェクトの展開を阻止することで合意したと発表した。フィスコが報じるところによると、リブラは仮想通貨の主要アプリケーションとして発展する可能性があると期待される一方、情報流出やマネーロンダリングや独占禁止法を巡るリスク、政府の金融政策に対する脅威などさまざまなリスクを懸念する声があるという。
世界中のアンバンクトを対象として国際送金の領域でファイナンシャルインクルージョンを実現しようとするリブラだが、各国の同意が得られるまでには、まだ様々な課題をクリアする必要がありそうだ。2020年にリリース予定としているが、予定通りにいくかはこれからの取り組み次第と言える。今後のリブラと各国の関連機関の動きに注目していきたい。
【参照記事】仮想通貨リブラ、G7・G20通じ適切な規制考える必要=日銀総裁
立花 佑
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