米内国歳入庁(IRS)の犯罪捜査部隊(CI)は11月18日、2021年度中に35億ドル(約4,000億円)相当の暗号資産を押収し、IRSがこの1年間で押収した額の93%を占めていることを年次報告書内で明らかにした。
IRSは、アメリカ合衆国の連邦政府機関の一つで、連邦税に関する執行や徴収を司る日本の国税庁に当たる組織だ。CIは、金融犯罪に対策すべく過去6年間でサイバー犯罪ユニット(CCU)を構築し、急激なサイバー犯罪の増加に対応してきた。
今回押収されたものの中には、ダークネット市場シルクロードに関する10億ドル相当(約1,140億円)の資産が含まれているという。これは、米国政府による過去最大の暗号資産押収額だ。IRSの報告書では「ほとんどの場合において、犯罪行為を促進するための手段として暗号資産が使用されている」と述べられている。
CIの犯罪捜査部長を務めるJim Lee氏は報告書の中で、ビットコインと税金に関する事件で史上初めて実刑判決が下されたことについても強調した。これは2020年11月、マイクロソフトの元ソフトウェアエンジニアが、ビットコインとデジタルギフトカードを使って1,000万ドル(約11億円)をだまし取ったとして、9年の実刑判決を受けたことを指している。
また、今年の4月にはロシア系スウェーデン人のRoman Sterlingovという人物が、2011年からダークネット上でビットコインのマネーロンダリングサービス「Bitcoin Fog」を運営していた容疑で逮捕されている。
ブルームバーグの記事によると、IRSは来年、税金詐欺やその他の犯罪に関連して更に数十億ドルを押収する可能性があるとしている。更にCIも来年、暗号資産の違法使用に対する取り組みをさらに強化するため、バージニア州北部にAdvanced Collaboration Data Centerを立ち上げる予定だ。政府の有するデータや技術、専門家の知識などを終結させ、暗号資産や金融に関するシステムの強化を図るという。
Lee氏は「CIは、デジタル金融の世界で成功するための最新のスキルや戦術を従業員に教育するため、多額の投資を行っています。」と言及した。
【参照URL】Publication 3583 (Rev. 11-2021)
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