米インフラ法案が、下院で11月6日に可決されたことがわかった。残すは、バイデン大統領による署名プロセスだけとなっている。
バイデン政権における目玉施策として注目を集めてきたインフラ法案が、ついに下院を通過した。1.2兆ドルもの予算を投入し、文字通りインフラ設備を刷新することで経済成長を促す。
暗号資産業界でインフラ法案が議論を呼んでいるのは、1.2兆ドルもの財源を暗号資産取引に対する課税強化で確保しようとしているためだ。課税強化の対象範囲となる「ブローカー」の定義を巡って、これまで数ヶ月間にわたり上院と下院で検討が進められてきた。
今回、下院では修正なしとして可決されたようだ。上院では、ブローカーの定義からマイナーが対象外とされたものの、下院では特に変化なく通過することが予想されていた。
また、暗号資産取引所Coinbaseの税務責任者を務めるLawrence Zlatkin氏は、「開発者やウォレットプロバイダ、PoSにおけるバリデータもブローカーの定義に含まれることになる。実現不可能な義務を課すことで、コンプライアンス違反による事業破綻が起こることは目に見えている」と見解を示していた。
米国の法律では、金融機関がマネーロンダリングの調査時に注意する受益者として、企業の株式を25%以上保有する個人が該当するという。この慣習を暗号資産の文脈でも適用するのが、当局の狙いだ。米国では、暗号資産取引による課税逃れのために、海外に実体のない会社を設立する動きが問題視されている。
今回のインフラ法案可決に伴い、年間600ドル以上の資金が移動された口座情報の報告を義務化することで、税逃れを防いでいく方針だ。
米国では、法案の可決プロセスとして、上院と下院で議論が行われ、それぞれで可決されると最終的に大統領の署名作業に入る。議院で可決された法案が大統領署名で覆ることは極めて稀であるため、今回のインフラ法案は実質的に可決されたとみて良いだろう。
【参照記事】Congress Passes $1.2 Trillion Infrastructure Bill, Paving Way for Extra Crypto Taxes in US
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