インド、暗号資産所得に30%課税する法案が可決

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インド議会は3月25日、暗号資産のキャピタルゲイン課税に関する法案が下院で可決されたことを発表した。すべての暗号資産取引による所得は一律30%で課税されることとなり、2022年4月1日より施行される。

この暗号資産への課税に関する法案は、Nirmala Sitharaman財務大臣によって提案されていた。2022年の財政法案の修正の一環として、暗号資産やNFT(非代替性トークン)を含む仮想デジタル資産(VDA)の譲渡による所得の課税を規定するものである。

この規定により、VDAの譲渡による損失と別のVDAの譲渡から生じる収入による損益通算が禁止されることとなり、取得費用以外の支出や手当を差し引くことができなくなる。

また、すべての暗号資産取引において、年間1万ルピー(約16,000円)を超える収益や贈与が発生した場合は1%の源泉所得税(TDS)が適用される。TDSの上限は所得税法に基づき年間5万ルピー(約80,000円)となり、このTDSに関する規定は2022年7月1日から開始される予定となっている。

一方、この法案に関して議会内でも反発の声が上がっており、衆議院議員の多くは暗号資産の定義が明確でないことを批判している。

また、同国の暗号資産業界の関係者の間でも「業界全体の成長を妨げるもの」として否定的な意見が多く上がっており、インド最大の暗号資産取引所の1つであるWasirXの共同創業者兼CEOのNischal Shettyは以下のように述べている。

「これは政府やインドの暗号資産エコシステムに寄与するものではなく、利益をもたらすどころかかえって害となるものである。その結果、海外の取引所への資本流出の増加にもつながる可能性がある。」

暗号資産業界の大半は、政府と減税に向けた議論を行うことを働きかけてきたが、今回の法案の可決により、最高裁判所での闘争に持ち込むことも検討しているという。

政府は、この法案のほかにも暗号資産を規制する法案を制定するために取り組んでいると述べているが、正確な内容は現時点では不明となっている。

【参照記事】Lok Sabha passes ‘The Finance Bill, 2022’, completes Budgetary exercise for FY23 – BusinessToday

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株式会社techtec リサーチチーム

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