インド政府は8月3日、地球温暖化につながる温室効果ガス(GHG)排出削減目標をひきあげ、2030年までにGDP原単位のGHG排出量を05年比で45%削減することにコミットすると発表した(*1)。同年までに電源構成にしめる再生可能エネルギーの割合も50%にひきあげる。
モディ首相が21年11月、英グラスゴーで開催された第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の首脳級会合で、70年までにGHG排出の実質ゼロをめざすと表明した。今回、政府はこの気候変動関連の目標をひきあげ、各国のGHG排出削減目標などをさだめた「自国が決定する貢献(NDC)」)を改定・承認した。
新NDCでは、30年までにGDP原単位のGHG排出量を05年比45%削減することにコミットする。これは16年に策定したNDCの数値目標を10%うわまわる。また、30年までに電力消費量に対する再生可能エネルギーの比率を従来の40%から50%にひきあげる。
15年に採択された地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」にもとづき、批准国は5年ごとにNDCを国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局へ提出しなければならない。インド政府は「NDCの改定は経済成長とGHG排出量とのデカップリング(切り離し)を達成するための強いコミットメントをしめすものだ」と述べた(*1)
同国は燃料の燃焼や供給された電気・熱の使用にともなう「エネルギー起源二酸化炭素(CO2)」排出量で、中国、米国に次ぐ世界第3位の大量排出国となる。70年までのGHG排出の実質ゼロ目標は50年を目指す日米欧や、中国やロシアの60年よりも遅いものだ。
21年に開催された国連気候変動サミットにおいて、石炭依存からの脱却がトーンダウンしたことも非難されていた。今回公表したGHG排出削減目標に関しても、GDPあたりの排出削減にとどまっていることに留意したい。これはGDPが増加すれば、排出総量も増えることもありうるからだ。
米イェール大学とコロンビア大学が共同で2年に1度公表する、環境政策の目標達成度合いを示す「環境パフォーマンス指数(EPI)」において、180ヶ国を対象とした22年のEPIでインドは最下位となっている(*2)。
【参照記事】*1 インド政府官報局「Press Information Bureau」
【参照記事】*2 EPI「Environmental Performance Index」
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