オーストラリアの資産運用大手IFMインベスターズは11月29日、「責任あるビジネスレポート(Responsible Business Report)2022」を発表した。再生可能エネルギー案件の投資パイプラインが10ギガワット規模に拡大したことや、IFMのインフラ・ポートフォリオ全体で投資先企業における取締役のジェンダー・ダイバーシティが大幅に向上したことを報告している。
同レポートで、同社は「厳しい世界経済情勢でも責任ある投資を行い、働く人々の退職後の生活に備えた長期的な資金を保護し成長させる」というパーパスの実現に貢献しながら、引き続き投資家に対してベンチマークを上回るパフォーマンスを達成したとしている。
トピックスは、同社のインフラ・ポートフォリオ全体での再生可能エネルギー発電能力は700メガワット以上に達した点(22年6月30日時点)。また、IFMがインフラ投資先企業の取締役候補者の女性比率を17年の18%から21年には38%に高めたこととで、取締役会のジェンダー・ダイバーシティに大幅な変化をもたらし、女性取締役の比率が19%から29%に高まったという。
「気候変動や社会的不平等への取り組みを支援することは、当社の顧客である投資家や最終受益者である何百万人もの働く人々のために長期的なリターンを創出することに注力するというビジネスのアプローチの一環」と同社は説明する。
その他にも、同社は22年6月30日までの12ヶ月間で、投資とポートフォリオにおける気候変動のリスクを管理・軽減するため①ネット・ゼロ・インフラストラクチャー・ポートフォリオや、オーストラリア株式気候変動戦略、オーストラリア・コモンウェルス銀行との連携によるESG定期預金など、持続可能性の目標を組み込んだ新しい投資戦略の展開②25年までに400ギガワット以上の再生可能エネルギーをオーストラリアのインフラ資産に供給、複数のインフラにおけるネットゼロ目標を後押し③上場株式チームによるIFMのスチュワードシップ活動で引き続き気候変動を優先テーマとして継続的に強化――といった活動を進めた。
また、グローバル・インフラ・ポートフォリオの投資先企業における有料道路での電気自動車の普及、空港での持続可能な航空燃料の使用促進、海運・港湾事業における排出量削減に向けた支援など、物流・インフラに関する活動も注力している。
IFM インベスターズは、人々の退職資金を長期にわたり、保護・成長させることを目的として設立された。豪州の複数の年金基金を株主とし、22年6月30日時点で1990億豪ドルの運用資産残高を有している。

HEDGE GUIDE編集部 ESG投資チーム

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