サステナブルなのはミドルよりシニア層?博報堂「生活者のサステナブル購買行動調査2022」

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サステナビリティに意識が高い世代は若年層がトップで、経年とともに低下していく――。そんなデータが増える中、株式会社博報堂が9月15日発表した「生活者のサステナブル購買行動調査2022」では、買い物の際の環境・社会意識度で、世代別では70代が最も高くなるなど、若年層と並びサステナブルな購買行動や社会行動に積極的に取り組むシニア層の存在感を印象付けた。

調査は、博報堂の「博報堂SDGsプロジェクト」で第三回目。全国の16~79歳の男女で、直近2~3ケ月に食品・飲料・日用品・衣料品などを購入した人5158人を対象に、インターネットで回答を募った。調査時期は今年3月18日~19日。

はじめに、SDGs(持続可能な開発目標)について「内容を知っている(よく知っている+ある程度知っている)」と答えた人は21年調査の28.8%から50.5%に上昇。「名前を聞いたことがある」まで含めると55.2%から80.8%に増加した。年代別では、10代(16~19歳)が突出して高く、「内容を知っている」と答えた人は74.3%、「名前を聞いたことがある」まで含めると9割超になった。

次に、「買い物の際に環境・社会に与える影響をどの程度意識しているか」を10点満点で聞いたところ、最も高かったのはシニア層で、70代が平均5.84点、60代が5.26点。10代(16~19歳)の平均5.05点を上回った。一方、「まったく意識していない」割合も高く、環境・社会意識については高い層と低い層で両極化が見られた。また、全年代の中で最も意識が低いのはミドル層で、30代4.74点、40代4.79点となった。

「ミニマル(最小限)」「ロングライフ(長期的)」「サーキュラー(循環)」といったサステナブルな購買行動の傾向は19年、21年調査とほぼ変わらない。しかし、ここでも70代のサステナブル購買行動の実施率は全般的に高く、特に「環境や社会に悪い影響を与える商品は買わない」(75.3%)、「環境や社会に悪い影響を与える企業の商品は買わない」(70.4%)などは全体より20pt近くも高くなった。

行動する消費者の動機は、社会・環境問題への危機感に裏打ちされている。「社会問題や環境問題には市民ひとりひとりが解決に取り組むべきだ」(64.7%)、「いますぐ社会問題や環境問題に取り組まなければ手遅れになると思う」(64.6%)と回答した人は6割超。中でも、60~70代のシニア層で特に高く、危機感を持ち、社会・環境問題を自分ごとととらえている様子がみられる。一方20-30代では、これらの項目は全体より10pt近く低かった。

シニア層のサステナビリティ意識の高さについては、シンクタンクの株式会社ニッセイ基礎研究所が今年3月末に実施した調査でも似た結果が出ている。20~74歳の約2500名を対象に実施した調査では、社会貢献意識が高いと言われる「Z世代」を含む20歳代より、高年齢ほど全体的に認知度が高い傾向がみられた。理由として、同社はシニア層の「人生経験が長く、幅広い知識がある」点を挙げる。

このテーマの意識調査では、他世代に比べ30代~40代の「意識の低さ」が目立つ。一方で、用語を正確に理解したり、具体的な消費行動に移している人は、全体では決して多くない。国内の消費者にとってサステナビリティは導入期であり、年齢だけで区別せず、属性や実態の正確な把握が重要だろう。

【参照記事】博報堂「生活者のサステナブル購買行動調査2022」レポート

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