スウェーデンの製鉄スタートアップH2グリーンスチール(H2 Green Steel)は7月2日、欧州のベンチャーキャピタル(VC)Demeterより出資を受けたと発表した(*1)。スウェーデン北部のボーデンにある、H2グリーンスチールの主力グリーン鉄鋼工場の建設を支援するもので、従来の高炉技術よりも95%排出量を抑えた鉄鋼を生産することができる。
Demeterは、ベンチャーキャピタル、プライベートエクイティ、エネルギー移行の分野におけるインフラ投資において、欧州の大手企業となる。同社のファンドは、100万ユーロから3,000万ユーロの投資規模で、革新的なスタートアップ、中小企業、インフラプロジェクトなど、これらの分野のあらゆる発展段階にある企業を支援している。
今回は、Demeterはフランスに本拠を置く世界最大級の水素ファンドHy24と共同で気候インフラファンド(art 9 SFDR)を通じ、H2グリーンスチールのボーデン工場に投資した。
H2グリーンスチールは2022年に設立された製鉄スタートアップだ。
鉄鋼は世界で最も環境に影響を及ぼす産業の1つであり、世界のCO2排出量の7%以上を占めている(*2)。同社は、欧州の鉄鋼業界の脱炭素化を図り、社員、顧客、投資家、地球のために、持続可能性を核とするインパクト・カンパニー(#1)への進化を目指している。
H2グリーンスチールは、酸化鉄から酸素を除去するためにグリーン電力で製造された水素を用い、従来の製鉄と比較して二酸化炭素(CO2)の排出量を95%削減する。製造工程で発生するエネルギーは、100%再生可能エネルギー由来の電力を使用する。石炭を、化石燃料を使用しない電力を用いたグリーン水素に置き換えることで、水と熱が主要な排出となる。
スウェーデン・ボーデンに主力グリーン鉄鋼プラントを建設しており、これには鉄鋼生産施設と一体化したギガワット規模のグリーン水素プラントも含まれている。ボーデン工場は22年に着工し、26年に操業を開始する予定だ。同工場はデジタル化、サーキュラーエコノミー(循環経済)を実現する工場であり、30年までに年間500万トンのグリーン鉄鋼を生産することを目標としている。
24年1月には、総額約42億ユーロの負債と24億ユーロの株式による大規模な資金調達を発表した。日本のパートナー企業としては、日立製作所や神戸製鋼などが挙げられる。
(#1)インパクト・カンパニー…経済的に成長するとともに、事業を通じて社会問題の解決を目指す中小企業。
【参照記事】*1 H2グリーンスチール「Demeter invests in H2 Green Steel」
【参照記事】*2 H2グリーンスチール「The future of steel is green」
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