グリーンピース・ジャパン、3メガバンクの石炭投融資方針を一定評価も「欧州に見劣り」

国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは6月5日、報道資料「スタートラインに立つ3メガバンクの石炭投融資制限 評価と国際比較」を発表した。これまでに石炭火力発電事業への新規投融資を原則中止する方針を打ち出している三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、みずほフィナンシャルグループ(MHFG)、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)の3メガバンクについて国際的な比較と分析を行い、新石炭方針が海外の競合他社に大きく遅れをとり、かつ気候危機への十分な対策を取っていないと提言している。

MHFG、MUFG、SMFGの3大メガバンクは、石火発電開発企業への融資企業として、融資額ランクの世界の上位を占めている。しかし、温室効果ガス排出量が多い石火発電は気候変動や大気汚染へ悪影響があるとして、欧州の金融機関は相次いで融資の中止に踏み切っている。この流れを受け、MUFGは2019年5月に「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」を改定し、日本のメガバンクで初めて原則停止を決定。今年に入り、他の2行も新規の融資を行わない方針で足並みをそろえた。

グリーンピースは、過去の融資活動と比較して3メガバンクの新方針の影響を分析。また、それぞれの新方針について、欧州の銀行の事例と比較した。まず、石炭火力発電事業への投融資をやめる方向に舵を切ったことは「大きな変化」と評価する一方、「融資の抜け穴は残されている」と指摘。新方針は現在の石炭ファイナンスの一部であるプロジェクトファイナンスに制限を設けるだけで、発電事業者にとって重要な資金調達手段となるコーポレートファイナンスには制限を設けていない。

この点ついて、グリーンピースは「コーポレートファイナンスでは銀行は企業の特定の事業ではなく、石炭火力発電、鉱業、輸送などを含む企業活動の全範囲を支援することになる。コーポレートファイナンスの形態には株式保有、 融資、引受、債券などがある。 3メガバンクの方針はこのようなタイプの資金提供に制限を設けていない」と問題視している。資料によると、海外ではこれまでに100社以上の金融機関が石火発電に対する融資制限を導入しており 、すでに多くの金融機関が石火発電事業を行う電力会社へのコーポレートファイナンスを全面的に制限している。

そのうえで「現在、石炭に依存する電力会社へのコーポレートファイナンスが広く行われていることを考えると、方針が強化されない限り、3メガバンクによる石炭分野への資金提供は今後も世界規模で行われる」と提起している。

3メガバンクの中では、石火発電所向けプロジェクトファイナンスの融資残高を19年度比で2030年度に半減、50年度までにゼロとする目標を打ち出したMHFGの方針を「やや踏み込んでいる」と評価したが「欧州の銀行と比較すると、3行とも石炭および化石燃料に関する方針は、すべての面で見劣りする」と断じた。
グリーンピース・ジャパンのエネルギー担当、ハンナ・ハッコ氏は「石炭やその他の化石燃料による発電所を建設・運営する電力会社に資金提供を続ける限り、3行は気候変動を悪化に加担することになる。エネルギー分野への融資をより持続可能な方向に変えるために、さらなる努力が求められる」と述べている。

グリーンピースは、3メガバンクに対して、プロジェクトファイナンスの抜け穴を塞ぐこと、資金提供先の電力会社に脱炭素戦略を求めること、新規の石炭発電所建設を計画したり、エネルギー事業の脱炭素計画を示さない電力会社への融資停止の3項目を求めている。3メガバンクとも6月下旬に年次株主総会の開催を予定しているため、グリーンピースは「総会の行方を見守り、エネルギー分野への投融資方針の強化を求めていく」としている。

【参照リリース】株式会社みずほフィナンシャルグループ「サステナビリティへの取り組み強化について ~脱炭素社会実現に向けたアクション強化~」
【参照リリース】三井住友フィナンシャルグループ「ESGに関するリスクの考え方について」

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HEDGE GUIDE編集部 ESG投資チーム

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