ドイツのNPOが同国でFacebookの主導する仮想通貨プロジェクトLibraに関する調査を行ったところ、71%の回答者がLibraに懐疑的だと答えており、肯定的な回答者は12%にとどまることが公表された。コインテレグラフジャパンが7月25日報じている。
調査は、ドイツの成人2093人を対象に2019年7月3日から5日に実施された。その調査の結果、調査対象の52%がFacebookの影響は既に社会的に問題となっていると考えており、さらに26%が同社のさらなる成長によって否定的な影響が生じると答えたという。また、中央銀行よりもFacebook、Apple、Amazonなどの大企業に信頼性があると答えたのはわずか4%だった。コインテレグラフジャパンによると、今回の調査を行った「金融再生のための市民運動」と非政府組織ファイナンスウォッチは、同プロジェクトの開発停止を欧州委員会(EC)と欧州中央銀行(EBC)に求めていることが報じられている。
最高財務責任者、ゲルハルト・シック氏は同件に関して、ドイツ国民の大半がFacebookの同プロジェクトの影響力を問題視していると考えていると述べた。また、Libraは多くの人にとって非常に役に立つ存在かもしれないが、Facebookに我々の資産情報が保持されることは自由が脅かされ支配されることに繋がると警告しており、それ故に最低限の規制では不十分で、Libraが運用される前に正しい判断が必要だと言及している。
Libraはそのプロジェクトの取り組みについてさまざまな議論を巻き起こしている。影響力の大きさから金融政策への影響を不安視する意見はもちろん、Facebookが過去に起こしたプライバシー問題からの信用問題など、FacebookはLibraプロジェクトの発案により多くのステークホルダーを生み出すことに「成功」した。しかし、今回の報告ではLibraを必要だと思う人間はおろか、Facebookがさらなる力を増すことを恐れていることが浮き彫りとなったかたちだ。
FacebookのLibraに対する各国の不信感は依然として色濃いままだ。Libraは銀行が利用できないアンバンクト層にとって金融へ参加をさせてくれる「救世主」となる通貨と言われてきたが、各国の中央銀行や規制当局からすると利便性以外にも考慮しなければならない側面が多い。
【参照記事】ドイツ人の7割、フェイスブックの仮想通貨リブラに懐疑的=現地NPOが調査
【参照記事】Mehrheit der Deutschen skeptisch bei Facebooks Libra

立花 佑

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