米連邦預金保険公社(FDIC)の会長を務めるJelena Mcwilliams氏は10月26日、ラスベガスで開催されたフィンテックカンファレンス「Money20/20」に登壇した。銀行がステーブルコインや暗号資産を取り扱えるようにするための、明確なガイダンスの作成する計画を明らかにしている。
FDICとは、被保険銀行における預金を保護するため預金保険業務を行う米国政府の独立機関だ。金融システムの安定、健全性の維持、消費者保護などを目的とし、金融機関を監督する役割を担う。
Mcwilliams氏は、暗号資産に関するリスクを軽減しつつ、イノベーションを促進する明確なルールを定めることが必要だと強調。過去数か月に渡り、米連邦準備理事会(FRB)や米通貨監督庁(OCC)らと協議を重ねてきたことを報告した上で、今後数か月の間に具体的な政策を発表する予定だと明らかにした。
また、近年米国内で普及が進んでいるステーブルコインについても言及。Mcwilliams氏によれば、ステーブルコインはより速く、低コストで効率的な支払いが可能であり、消費者にとって多くの潜在的なメリットがあるという。しかし「今後、米国や世界においてステーブルコインが主な決済手段となった場合、保険に加入している銀行に資金が保管されなくなり、その国の金融に重大な影響を及ぼす可能性があります」と警鐘を鳴らした。
米国では、デジタル資産に関する規制がまだ明確に定められていないため、多くの企業が法的措置や政府からの反発を恐れている。Mcwilliams氏は「ステーブルコインを実用化するには、潜在的なリスクを考慮しつつ、政府の適切な監視下に置くべきです」と指摘した。
米メディアBloombergは同日、米証券取引委員会(SEC)がステーブルコインを銀行預金のように規制するよう米議会に提案していくことを進める方針で、規制当局と合意したと報道している。また今月には、バイデン政権がステーブルコインの規制の適用を進めていることも明らかにされており、ステーブルコインに特化した法案を提案する見込みだ。
【参照記事】Remarks by FDIC Chairman Jelena McWilliams at Money 20/20
株式会社techtec リサーチチーム
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