イーサリアムの開発者は現在、大型アップグレード「Ethereum 2.0(以下「ETH 2.0」)」に取り組んでいる。時価総額2位の暗号資産は、基盤となるブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムを刷新し、ネットワークの分散化と高速化を目指している。5月20日、ビットコインとブロックチェーンニュースメディアCointelegraphが伝えている。
ETH 2.0とは、現行のETHブロックチェーンを再設計して、よりスケーラブルなバージョンを起動する大規模なアップグレードを指す。最初の実装は2020年の夏に開始される予定で、3つ全てのフェーズが完了するまでさらに1〜2年を要すると見込まれている。
アップグレードの一部には、コンセンサスアルゴリズムを現在のプルーフオブワーク(PoW)からプルーフオブステーク(PoS)への移行が含まれる。PoSの採用によりイーサリアムに導入されるステーキングは、ユーザーが一定量のイーサリアム(ETH)を保有してブロックチェーンネットワークに参加し、その見返りに報酬を獲得するプロセスだ。
PoSへ移行する理由の一つは、PoWよりもはるかにエネルギー効率が良いとみなされている点だ。また、マイニングハードウェアの開発競争により少数の大きなマイニングプールにシェアが偏っていたため、イーサリアムネットワークの分散化を図る目的もある。PoSは誰でもバリデーターとして参加でき、参入障壁が低いため、分散化される可能性が高い。最終的に、ETH 2.0にバリデーター(トランザクションの検証者)の区分けとトランザクションの並行処理技術「シャーディング」を導入することでスループットを高める狙いもある。
ETH 2.0のステーキングには、最低32 ETHを保有し、コンシューマーレベルのPCがあれば、誰でもノードを実行して参加できる。なお、バリデーターは常にオンラインにしておく必要がある。これを違反するかネットワークを攻撃するとETH保有量を失う「スラッシング」と呼ばれる罰則を受ける。
ステーキングの最大の利点は、暗号資産を保有することで得られる報酬である。MetaCartel Ventures DAOによると、ETH 2.0ステーキングの年間収益率は約4%〜10%と試算されている。また投資家にとっては、支持するブロックチェーン・プロジェクトに参加する手段を得られる。
一方、ステーキングのデメリットは、市場が暴落した時に資産を売却して損失を軽減するなどの対応ができなくなることだ。ステーキング資産は所定の期間ロックされるため、容易に取り出せなくなる。前述の「スラッシング」を回避するため、サードパーティの「ステーキングプール」に参加する選択肢もあるが、秘密鍵の適切な管理に注意も必要だ。
【関連記事】イーサリアムとは?特徴・仕組み・購入方法
【参照記事】Ethereum 2.0 Staking, Explained
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HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム

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