循環型流通技術を提供するecoSPIRITSecoSPIRITSは5月29日、蒸留酒世界大手の仏ペルノ・リカールと、持続可能なパッケージングに関する5年間のグローバルライセンス契約を締結したと発表した(*1)。ペルノの蒸留酒ブランドにecoSPIRITSの循環型パッケージを使用する。
ecoSPIRITSは2018年にシンガポールで設立され、低炭素、低廃棄物の高級蒸留酒とワインの流通技術を開発したサーキュラーエコノミースタートアップだ。
特許出願中となる循環型のクローズド・ループ・システムは、サプライチェーンにおける包装廃棄物をほぼゼロにする。包装と輸送を劇的に削減することで二酸化炭素(CO2)排出量も大幅に削減する。同社とパートナー企業は毎年、何百トンもの使用済みガラスの廃棄物をなくし、何万本もの木を植え、サステナビリティの取り組みを推進している状況だ。
現在ではアジア太平洋、欧州、アメリカ大陸の27か国超でecoSPIRITSのシステムを利用できる。ミシュランの星付きレストラン、世界のベスト50のバーなど3,000近くのレストラン、ホテル、バーが同社のテクノロジーを採用している。
現在はクローズド・ループ・システムのグローバルネットワークを急速に構築しており、24年末までにカバー範囲をさらに拡大する予定だ。
今回の提携は、22年後半にシンガポールでおこなわれたパイロット・プロジェクトの成功に基づくものである。同プロジェクトでは、ペルノの3つの蒸留酒ブランド、ビーフィーター、ハバナクラブ、アブソルートが、exoSPIRITSのクローズド・ループ技術ecoTOTEおよび自動ディスペンサーSmartPourを活用してシンガポール中のバーで提供された。
新たなグローバルライセンス契約に基づき、これらの3ブランドは新たな市場にも導入されるほか、ペルノの他のブランドも順次追加される予定だ。ecoSPIRITSはペルノをサポートするためのカスタマーサクセスチームも拡充した。
ペルノにとっては、製造のサステナビリティ・責任ある生産に関するロードマップに沿ったものである。同ロードマップの下では、より持続可能なパッケージング・ソリューションの開発を目指すことにより、サーキュラーエコノミーを推進している。
20年後半から、ペルノとecoSPIRITSは蒸留酒業界向けの循環型パッケージの評価、改良、開拓のために協働している。提携強化の一環として、両社は循環型パッケージ業務と、循環型パッケージのインパクト会計・報告に関する知識の共有や能力の開発にも投資している。
1月には、キューバのサン・ホセ・デ・ラス・ラハスにあるハバナクラブの蒸留所に、クローズド・ループ・パッケージング・システムを導入している。キューバ市場でシングルユースガラスパッケージの削減を開始した。
コンテナ式半自動蒸留酒加工施設ecoPLANT 2.0が同システムを支える。キューバ初となるecoPLANT 2.0は、ケイマン諸島のジョージタウン、ドミニカ共和国のサン・ペドロ・デ・マコリスとともに、カリブ海地域に3つある施設の1つとなる。
世界中に120以上のホテルを展開するスペインのホテル大手イベロスター・グループがキューバ市場のローンチ・パートナーとなった。同グループの高級ホテルであるコスタ・バラデロとベラ・ビスタ・バラデロは、クローズド・ループ・パッケージの蒸留酒を採用したキューバ初のホテルである。24年1月よりecoTOTEのハバナクラブアニェホ3アニョスラムを納入し、同国におけるecoSPIRITSの技術を導入したパイオニア企業となる。
フランスのサーキュラーエコノミー関連のコンサルティング会社Circul’Rとは、ecoSPIRITS Carbon Calculatorの検証とアップグレードをおこなった。これにより、急速に進化する炭素会計と環境主張(#1)に関する基準に沿い、ecoSPIRITSが有する技術を活用することによる炭素排出のポジティブインパクトの追跡と報告が可能になる。
今回のグローバルライセンス契約に基づく最初の市場投入を含む、両社の提携計画の詳細は、24年後半に発表される予定だ。
(#1)環境主張…製品やサービスに対し環境保全策を講じていることを説明文、シンボル及び図表を通じて自己宣言すること。
【参照記事】*1 ecoSPIRITS「Pernod Ricard and ecoSPIRITS Deepen Partnership for Circularity in Spirits, and Announce Cuba Launch」
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