三井不動産株式会社は12月9日、大和証券株式会社が本社を置くグラントウキョウノースタワーで使用する電力の全量を、株式会社大和証券グループ本社傘下の大和エナジー・インフラ株式会社が国内に所有する再生可能エネルギー発電設備の環境価値が付与された電力へ切り替えたと発表した。
大和エナジー社が所有する再生可能エネルギー発電設備の環境価値による付加情報が付与されたトラッキング付非化石証書を、ノースタワーの賃貸人である三井不動産が小売事業者より取得、大和証券は三井不動産の「グリーン電力提供サービス」を活用し、太陽光、風力、水力などの電源種別や、発電所所在地などの付加情報が付与された「非化石証書」が付与された電力の提供を受ける。大和証券グループと三井不動産の協業で実現した。
大和証券グループは、2021年4月からノースタワーに入居する全てのグループ会社において実質的な再生可能エネルギーを使用している。三井不動産は、22年度までに東京ミッドタウンおよび日本橋エリアのミクストユース型基幹ビルなど首都圏25棟における使用電力(自社持分相当共用部)を先行してグリーン化することとしており、この一環として21年10月よりノースタワーでの使用電力(同)を再生可能エネルギー発電設備の付加情報が付与された電力へ切り替えを進めている。再生可能エネルギー発電設備の環境価値とは、再生可能エネルギーによって発電されたグリーン電力が持つ、環境への低負荷や創エネ・省エネなどの価値を指す。
大和証券グループは新たな事業領域に参入し、伝統的な証券ビジネスを強化、補完する「ハイブリッド戦略」を推進している。18年に大和エナジーを設立、再生可能エネルギー分野における投融資ビジネスに取り組んでいる。今回の切り替えは、今年5月に公表した経営ビジョン「2030Vision」における重点課題の一つ、「次世代につなぐ美しい地球環境の創造」を目指す、グループを挙げた取組みの一環。
三井不動産は社会的使命や企業の経営課題に寄り沿ったソリューションやサービスを提供、顧客ニーズに応えることで課題解決を志向している。今回のグリーン電力化と並行して、各施設での一層の「省エネ」や、施設内外での再生可能エネルギーの「創エネ」を推進し、「テナント企業や共同事業者と共に脱炭素経営に取り組み、持続可能な社会の実現、SDGsへの貢献を目指す」としている。
三井不動産は同日、国際的な環境調査・情報開示を行う非営利団体CDPより、気候変動部門において最高評価にあたる「CDP2021気候変動Aリスト」企業と認定され、気候変動に対する活動において世界的な先進企業として評価を受けたことを併せて発表した。21年度は世界で200社、日本では同社を含む55社が気候変動Aリストに選定された。
【参照リリース】三井不動産株式会社「大和証券グループの本社ビルの電力を自社グループの再エネ発電由来へ切替え」

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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