2021年の暗号資産犯罪利用率は0.15%、過去最低水準を記録

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米ブロックチェーン分析企業Chainalysisは1月6日、2021年における暗号資産関連犯罪に関するレポートを公表した。

暗号資産関連犯罪は、2021年に過去最高を記録しており、不正送金総額は140億ドルにのぼる。2020年の不正送金総額は78億ドルであったことから、前年比で約1.8倍に増えている。下図は、各年ごとの不正送金総額を示している。

しかし、暗号資産関連犯罪の増加と共に、暗号資産の一般的な活用も増加した。2021年の暗号資産の総取引量は15.8兆ドルに達し、2020年の総取引量と比較すると567%増加している。

その結果、2021年の暗号資産総取引量における不正送金額の割合は、過去最低水準の0.15%を記録した。下図は、各年ごとの不正送金額の割合を示している。

上図より暗号資産関連犯罪利用率は、2019年を除いて徐々に減っていることがわかる。2019年はPlusTokenポンジスキームによる暗号資産関連犯罪が急増したため、前年に比べて大幅に犯罪率が増加した。

2021年に暗号資産関連犯罪利用率が低下した要因としては、各国の法執行機関の能力が上昇している点が挙げられる。2021年を通して、米商品先物取引委員会(CFTC)が複数の投資詐欺を告発した事例や、連邦捜査局(FBI)がランサムウェア「Revil」を撲滅した事例などが確認されており、法執行機関の活躍が見て取れる。

レポート内では、暗号資産関連犯罪の傾向についても説明された。下図は、各年ごとに犯罪別の増加率を示している。

2020年から2021年にかけて大きく増加した犯罪の種類は、詐欺(Scam)と資金の盗難(Stolen funds)である。両者が増加した要因として、同時期に急速に拡大したDeFiが挙げられる。

詐欺被害は、2021年に前年比で82%増加し、被害にあった金額は78億ドルに相当するという。2021年に急増した詐欺の手法が「ラグプル(rug pulls)」と呼ばれる手法だ。ラグプルとは、合法的に見える暗号資産プロジェクトを立ち上げて、投資家らの資産を持ち逃げする行為である。2021年の詐欺被害のうち、36%(28億ドル)がこの手法によって行われている。

また資金の盗難に関しても、2021年には約32億ドルの暗号資産が盗まれ、前年比で516%増加した。盗難被害のうち、72%(22億ドル)は、DeFiプロトコルから盗まれたものだ。このようにDeFiの拡大に伴いDeFiを狙った犯罪も増加している。

【参照記事】Crypto Crime Trends for 2022: Illicit Transaction Activity Reaches All-Time High in Value, All-Time Low in Share of All Cryptocurrency Activity

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株式会社techtec リサーチチーム

「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル) 」を運営。日本発のブロックチェーンリーディングカンパニーとして、世界中の著名プロジェクトとパートナーシップを締結し、海外動向のリサーチ事業も展開している。Twitter:@PoL_techtec