金融庁、「仮想通貨交換業等に関する研究会」の報告書を公表。2018年4月から行われた全11回の議論を総括

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金融庁は12月21日、「仮想通貨交換業等に関する研究会」の報告書を公表した。仮想通貨交換業等に関する研究会は、2018年4月より11回にわたり、仮想通貨交換業等の問題について検討してきた。今回公表された報告書は、同研究会の1年間の活動をまとめたものだ。

仮想通貨交換業等に関する研究会は、コインチェックやZaifなどによる仮想通貨流出事件や仮想通貨の投機性の指摘、事業規模の拡大に業者の内部管理態勢の整備が追いついていない実態、仮想通貨を用いた新たな取引(証拠金取引やICO)の登場といった問題を受け、制度的な対応の検討をしてきた。

研究会はこの制度的な対応として、仮想通貨取引所関連の対応、仮想通貨証拠金取引等への対応、ICO(Initial Coin Offering)への対応の3つを検討している。

仮想通貨取引所関連の対応は、仮想通貨取引所に顧客から預かる同種・同量以上の仮想通貨の保持義務付けやユーザーの仮想通貨返還請求権を優先弁済の対象とする仕組みの整備、財務書類開示の義務付け、取引価格情報の公表義務付けや投機を助長する広告・勧誘の禁止、自主規制との連携を進めるとしている。また、匿名性の高い仮想通貨のように利用者保護や業務の適正かつ確実な遂行の支障になる仮想通貨の取り扱いを禁止することが盛り込まれている。

仮想通貨証拠金取引等への対応には、既存の外国為替証拠金取引(FX取引)と同様に勧誘の禁止などの行為規制を適用することや適切な倍率の上限設定、仮想通貨特有のリスクに関する説明義務の規約の盛り込み、最低証拠金の設定が検討された。また、信用取引には、仮想通貨証拠金取引と同様の機能・リスクを有することを踏まえ、同様な規制を適用する考えだ。

トークンを発行して資金を調達するICO(Initial Coin Offering)への対応では、証券性が高いトークンに関しては、仮想通貨による出資を募る行為が規制対象となることの明確化や50名以上の出資者募集に公衆縦覧型の発行・継続開示の義務付け、仲介業者を証券会社と同様の対象規制を敷くこと、有価証券と同様の不公正取引規制の適用が検討された。不公正取引規制の適用に関しては、インサイダー取引の規制として今後の事例の蓄積等を踏まえた上で行われる。また、サービスを利用するためのトークンを取り扱う仮想通貨交換業者には、事業の実現可能性等に関する情報提供を義務付ける方針だ。

上記のほか、仮想通貨の不公正な現物取引への対応、仮想通貨カストディ業務への対応、業規制導入に伴う経過措置、法令上の呼称の変更などについても触れられている。仮想通貨交換業者への対応だけに留まらず、今まで罰則のなかった不正行為や風説の流布、仮想通貨交換業以外の仮想通貨関連企業への対応も進められ、利用者保護に向けたルール作りが進み始めていることがうかがえる。

【関連記事】第11回目となる「仮想通貨交換業等に関する研究会」で仮想通貨規制に関する報告書を公表
【参照記事】「仮想通貨交換業等に関する研究会」報告書の概要
【参照記事】仮想通貨交換業等に関する研究会 報告書

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