環境NGOの英CDPと欧州財務報告資本グループ(EFRAG)は11月12日、CDPの開示プラットフォームと欧州連合(EU)が採択した欧州持続可能性報告基準(ESRS)との間に共通点とインターオペラビリティ(相互運用性)を確保したと発表した(*1)。
両組織による共同マッピング作業により、CDPの気候変動質問書とESRS気候変動基準(ESRS E1)との間に共通点があることが明らかになった。これは双方に利益をもたらし、ESRS E1報告者はCDP開示をより容易にできるようになり、CDP開示企業はESRS E1の報告要件に十分に対応できるようになる。2025年のCDP開示サイクルに先立ち、来年早々に発表される包括的なマッピングで詳細に説明される予定である。
CDPはESRSの市場への導入を促進する主要パートナーとして、欧州基準の世界的な普及を支援する上で有利な立場にある。欧州株式市場の90%を占める企業がすでに環境データの開示にCDPを利用していることから、CDPの環境開示プラットフォームはESRS準拠のデータにアクセスするための主要なツールとなるだろう。
CDPのシェリー・マデラ最高経営責任者(CEO)は「EFRAGのような基準設定主体と緊密に協力することで、報告を行う企業とデータ利用者双方に利益をもたらす、より効率的でグローバルな環境情報開示のエコシステム構築を目指している。CDPの質問書とESRS気候基準との間に広範な共通点があることが確認されたことは、世界中の組織の報告プロセスを合理化するという我々の取り組みを強化するものだ」と述べた(*1)。
EFRAGとCDPの協業は、企業の報告負担を軽減しつつ、グローバル企業による企業持続可能性報告指令(CSRD)の実施を支援することを目的とする。CDPのプラットフォームとESRS E1の共通点に関する発表を受け、CDPはESRSに準拠した回答データに関する洞察を市場に提供する。
CDPは25年にESRS E1とCDPの質問書の整合性を高める方法について検討する。CDPとEFRAGは、今後の情報開示サイクルにおいて企業を支援するために、ESRSと25年CDP気候変動質問書間のマッピングガイダンスも共同で公表する。
さらに、包括的な市場調査プロジェクトでは、両組織と情報開示者およびデータ利用者が協力し、今後のCDP質問書開発に必要なESRSデータ項目を特定する方針だ。
【参照記事】*1 EFRAG「CDP and EFRAG Announce Extensive Interoperability Between CDP Questionnaire and EU Sustainability Reporting Standards」
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