JPモルガン・アセット・マネジメント傘下にて森林の投資管理を手掛けるキャンベル・グローバルは8月8日、英年金基金のネストより森林ファンドのマンデート(業務の委任)を獲得した(*1)。ネストにとっては、ポートフォリオの分散効果に加え、森林および生態系の保全効果も期待できる。
ネストは新たなアセットクラスとして森林(ティンバーランド)を加える。キャンベルは米国を始めとする世界の主要市場で投資機会を模索し、強みとする森林に特化したグローバルポートフォリオを提供する。
森林投資は、紙や住宅建材など向けに樹木を売却するための土地に投資することである。このような投資形態は、米国では何十年も前から行われており、2024年現在、世界中に何百万エーカーもの個人所有の森林が存在する。注意深く手入れされた森林は、再生可能な木材の供給源として機能する一方、バイオマスエネルギーや建設などの産業の原料生産にも貢献している。
ネストは新たなアセットクラスに森林を加えるために、世界最大級の森林の投資管理会社であるキャンベルと提携した。ネストの重要な投資信念の1つは、分散されたポートフォリオが強力なリスク調整後リターンを提供するのに役立つということである。ポートフォリオに森林を組み入れることで、サービスの更なる多様化に役立つことを期待している。
森林資産および森林投資戦略は、株式市場や債券市場とは異なる動きをすることが分かっている。金融市場が急落した場合でも、森林はこれら伝統的なアセットクラスよりも影響を受けにくいはずであると、ネストは見ている。
経済的なメリットだけでなく、持続可能な森林管理は森林とその生態系の保全にも役立つ。調査によると、森林は大気中に排出される炭素の約2倍を吸収することができ、海や土壌と並ぶ3大炭素吸収源の1つとなる(*2)。森林は環境的なベネフィットにより、気候変動に取り組むための重要な自然に根ざした社会課題の解決策となりうる。
JPモルガン・アセットは2021年にキャンベルを買収した。林業セクターへの直接アクセスと国連の持続可能な開発目標(SDGs)との整合性を確保することを目的とする。これにより、JPモルガン・アセットは低炭素社会への移行に直接参加し、カーボン・オフセット市場が発展すれば、積極的に関与することができる。
【参照記事】*1 ネスト「The new asset class in your Nest pension」
【参照記事】*2 世界資源研究所「Forests Absorb Twice As Much Carbon As They Emit Each Year」
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