目次
Carbifyとは?
「Carbify」は、ブロックチェーンを活用してカーボンオフセットを目指す企業のサポートを行うプロジェクトです。注目すべき点は、カーボンクレジットではなく”カーボンデビット”を提供している点と、単にカーボンデビットを提供するだけでなく、トークンやGameFiと絡ませながらエコシステムまで構築しようとしている点です。
ではまず「カーボンデビット」について説明します。以下、CarbifyのHPに記載されている内容を翻訳して掲載しています。
Carbifyはカーボンクレジットに課題があると指摘します。具体的には、カーボンクレジットは将来のCO2削減に対して発行されることが多いので、本当にCO2削減に貢献しているのかが不透明な部分が多いと主張します。ブロックチェーンを活用すると一度オンチェーンの載せた内容に関して、二重カウントもなく、取引も透明性高く実施されますが、そもそも載せる内容自体に誤りがある場合、その後がいくら正確でも意味がありません。ひどい場合にはグリーンウォッシュ(※)に使われる可能性もあるとしています。
グリーンウォッシュとは
グリーンウォッシュとは、環境に配慮した、またはエコなイメージを思わせる「グリーン」と、ごまかしや上辺だけという意味の「ホワイトウォッシュ」を組み合わせた造語。環境に配慮しているように見せかけて、実態はそうではなく、環境意識の高い消費者に誤解を与えるようなことを指す。
【引用記事】グリーンウォッシュとは・意味
一方の”カーボンデビット”の場合は、すでに削減されたCO2に対しての証明書となるので、不確定要素が非常に少ないです。カーボンオフセットを目指す企業からしても削減証明として安心して購入することができます。Carbifyでは、カーボンデビットを発行することで、カーボンオフセットを目指す企業の支援を行っています。
Carbifyのエコシステムは?
では、より具体的なエコシステム(プロジェクトの全体像)を見ていきます。Carbifyでは南アメリカを中心に植林を積極的に行っています。そして、この際に植林した樹木と紐づいた「NFTree」と呼ばれるNFTを販売しています。
「NFTree」を保有することによって、CO2削減量1トンに対応する$aCO2トークンが付与されます。$aCO2トークンはもちろんカーボンデビットなのですでに削減されたCO2を証明するトークンとなります。このトークンをバーンしてカーボンオフセットを実現することも可能ですし、企業に販売して売却益を得ることも可能です。もちろんすべてオンチェーン上で実施でき、トークンをバーンした際の証明もNFTで発行できますし、売却時もステーブルコインで収益を獲得します。そしてさらに、この「NFTree」「$aCO2トークン」と絡めて、Carbifyの独自トークン「$CBYトークン」とゲームタイトルの「Eco Empires」、そしてEco Empiresで利用できる土地NFT「Landplot」が存在します。
基本的には上記で説明したように植林した木と紐づいた「NFTree」とそこから削減されたCO2と紐づいた「$aCO2」の仕組みが回っていますが、トークンやゲームが絡まることでより大きなエコノミクスを構築しようとしています。
まず「$CBYトークン」から説明します。$CBYはCarbifyエコシステムのユーティリティトークンです。Polygon上に発行され、総供給量は5,000万です。以下のアロケーションとなります。
$CBYはCarbifyエコシステム内のカーボンデビットの売買等や主にゲームタイトルの「Eco Empires」で利用されます。加えて、$CBYをステーキングすることでNFTree報酬($aCO2)を増やすことが可能です。ただし、$CBYをステーキングするには、土地NFT「Landplot」を購入する必要があります。「Landplot」は仮想空間に存在する土地なので、「Landplot」を購入し、その上にNFTreeをステーキングします。この行為は仮想空間の土地にNFTreeを植林することをイメージしています。そして、その状態で$CBYをステーキングすることでNFTree報酬($aCO2)を増やすことができます。具体的には最大125%多い$aCO2 収益を獲得できるとのことです。
そしてさらに、先ほどのステーキングに必要であった土地NFT「Landplot」を活用したゲーム「Eco Empires」も開発しています。広く言えば都市建設系のMMO-RTSゲームですが、ここにリアルな木と紐づいたNFTreeやステーキングにも利用できる土地NFTが絡んできて、現実世界の環境問題の解決にも繋がるゲームになっています。
この中のゲームアイテムの売買には$CBYトークンが利用されています。
総括と展望
「Carbify」は、ブロックチェーンを活用してカーボンオフセットを目指す企業のサポートを行うプロジェクトです。南アフリカを中心に植林を行っており、そこで実際に植えられた木に紐づいたNFTreeと呼ばれるNFTを発行しています。NFTreeホルダーには実際に削減されたCO2量と紐づく$aCO2トークンが配布されます。このトークンはカーボンデビットであり、信頼性の高いアセットです。
NFTreeホルダーは土地NFTの「Landplot」と購入し、「Landplot」にNFTreeをステーキングし、さらにCarbify独自トークンの$CBYをステーキングすることで、より多くの$aCO2トークンが獲得できます。$aCO2トークンは自身でカーボンオフセットのためにバーンすることも、カーボンオフセットを目指す企業に売却して利益を得ることも可能です。そして、「Landplot」と「$CBY」を活用した都市構築ゲーム「Eco Empires」も開発しており、NFTやトークンのユーティリティを増加させると共に、環境問題の解決と紐づいたゲーム体験も提供しています。
盛り沢山でしたが、その全体像が伝われば幸いです。より細かい部分に目を向けると、ステーキングでの報酬ロジックやそれに基づくトークンバーンの仕組みなど、幾つか細かい仕組みも説明されていましたが、そこまで含めると複雑になりすぎると感じたのでこの記事では言及しません。気になる方はぜひドキュメントをご覧ください。
それでは、最後にCarbifyの展望を予想します。ドキュメントに具体的なロードマップは書かれていませんでしたが、上記で紹介したエコシステムをより多くの人や企業へと広げていき、カーボンオフセットを実現していくことがビジョンとして掲げられています。
特に環境問題をゲーム化することについての言及も深く書かれており、「Eco Empires」へ注力して拡大させていくと予想されます。ReFiの世界ではカーボンクレジットやデビットを発行するプロトコルや環境問題を題材にしたゲームはありますが、別々に存在していることが多く、そこが一気通貫してエコシステム内にあることがCarbifyのユニークな点だと感じました。ゲーム内のアイテムとしての土地NFTを使うと、獲得できるカーボンデビットの量が増えるなどは投資商品としてのカーボンデビットの価値も上昇させることと、ゲーム起点で環境問題に目を向ける人の数を増やすこと、どちらにも貢献する可能性があります。
ゲームが面白く、プレイされることが前提ではありますが、この両輪を回していく形はとても面白く、大きな可能性が存在します。引き続き注目していきたいです。
mitsui
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