ReFi Tokyo 2024 開催レポート:日本におけるRegenerative Financeの最前線

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2024年7月26日、東京・恵比寿にて「ReFi Tokyo 2024」が開催されました。本イベントは、日本で唯一のRegenerative Finance(ReFi、再生金融)に特化したイベントとして、今年で2回目の開催となります。約100名の参加者登録があり、会場は熱気に包まれた中、国内を中心としたReFi関連プロジェクトが一堂に会し、最先端の取り組みが紹介されました。

目次

  1. ReFiとは
  2. イベント概要
  3. 後援・スポンサー・メディアパートナー
  4. プロジェクトの紹介
    4-1. 西表島ジャングルクラブ
    4-2. web3 Research JAPAN
    4-3. ELYSIUM’S EDGE
    4-4. tancre(たんくれ)
    4-5. 西海クリエイティブカンパニー
  5. イベントまとめ

1. ReFiとは

ReFi(Regenerative Finance)は、現在の経済・金融システムの構造的問題に取り組むための新しい概念です。Web3技術を活用し、生態学的・社会的インパクトを重視した代替金融システムを目指しています。ReFiは、ブロックチェーン、暗号資産、スマートコントラクト、分散型自律組織(DAO)などのツールを用いて、持続可能性と回復力の促進に焦点を当てています。投資収益と同時に、環境や社会に対する正の影響を生み出すことを目的としており、分散型で公平、かつ再生型のシステムの構築を目指しています。

2. イベント概要

ReFi Tokyo 2024は、ReFi Labが主催しました。ReFi Labは、RelicReFi Japan博報堂キースリーJE FORESTが共同で運営するReFiを普及拡大するための組織です。

イベントは、プレネットワーキングから始まり、オープニングリマーク、各プロジェクトの発表と続き、最後にネットワーキングで締めくくられました。


3. 後援・スポンサー・メディアパートナー

本イベントは、以下の組織からの支援を受けて開催されました。

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メディアパートナー:

後援:

HEDGE GUIDEを運営するハーチ株式会社にも本イベントのスポンサーとして参加していただきました。

ハーチ株式会社は、”Publishing a Better future” をミッションに掲げ、サステナビリティ領域での情報発信や支援事業を幅広く展開しており、ReFiを含む新しい金融の形にも注目しています。

本イベントでは、HEDGE GUIDEの編集長である天野貴博氏が登壇し、サステナブル金融の最新動向について発表を行いました。天野氏は、2007年にみずほFGに入社後、2015年からハーチ株式会社でHEDGE GUIDEを立ち上げ、編集長を務めています。現在は「金融×デザイン」をテーマに、サステナブル金融やインパクト投資、システムチェンジ投資、寄付など、社会をより良くするお金の循環に関する取材・発信・支援に携わっています。

HEDGE GUIDEを運営するハーチ株式会社にも本イベントのスポンサーとして参加していただきました。この支援により、より充実したイベント開催が可能となりました。

4. プロジェクトの紹介

イベントでは多くのReFi関連プロジェクトが紹介されましたが、ここではいくつかのプロジェクトを紹介します。

4-1. 西表島ジャングルクラブ


西表島ジャングルクラブは、沖縄県の西表島に拠点を置き、島の原生自然と文化の持続可能性を目指して活動するユニークなプロジェクトです。本イベントでは、このプロジェクトを率いる七沢智樹氏が登壇し、その取り組みについて紹介しました。

七沢氏は、企業での技術開発の経験を活かしつつ技術哲学を研究する傍ら、西表島ジャングルクラブをNFTメンバーシップ制度で運営しています。プロジェクトの主な活動として、今年度から海洋ごみリサイクル事業の実証実験を島内で開始しており、環境保護と循環型経済の実現に向けた取り組みを進めています。また、「JUNGLE Gathering」と呼ばれるサバイバルキャンプを年3回開催しています。このキャンプでは、厳選されたツールと地元の島民ガイドのもと、参加者が島の自然と文化を直接体験し、理解を深める機会を提供しています。

七沢氏は技術と哲学の橋渡し役としても活躍しており、『技術哲学講義』(マーク・クーケルバーク著)の共訳や、WIREDでの『技術哲学入門』の連載など、幅広い活動を展開しています。

このように、西表島ジャングルクラブは、Web3技術を活用しながら実際の地域活動と結びつけ、環境保護、文化継承、そして持続可能な観光のモデルケースとなることを目指しています。七沢氏の多面的なアプローチは、ReFiの理念を体現する興味深い事例として、参加者の注目を集めました。

4-2. web3 Research JAPAN


web3 Research JAPANは、本イベントのスポンサーの一つであり、「1日5分でweb3をより深く学ぶ」をコンセプトに、web3の注目トレンドやプロジェクトの解説、最新ニュース紹介などのリサーチ記事を毎日配信しています。

web3 Research JAPANの運営者であるmitsuiさんが、HEDGE GUIDEに対してもReFiに関する記事を寄稿しています。mitsuiさんは本イベントでも登壇し、ReFiの最新動向や自身の活動について発表を行いました。Web3やReFiの情報をチェックする方は、ぜひweb3 Research JAPANのニュースレターをご登録してみて下さい。

4-3. ELYSIUM’S EDGE


本イベントのスポンサーでもあるELYSIUM’S EDGEは、「放置ゲーム」とPlay to Earn(プレイトゥアーン)タイプのブロックチェーンゲームを融合させたプロジェクトです。時間に余裕のないプレイヤーでも気軽に参加できる一方で、著名な小説家「くしまち みなと」氏の世界観と株式会社ヴァンガードの開発協力による本格的なゲーム体験も提供しています。

ELYSIUM’S EDGEの特徴は、RPG的なバーチャル空間内に構築された疑似経済市場にあります。プレイヤーはこの市場で活動することで利益を得るだけでなく、その活動がリアル世界での脱炭素、森林保護、教育支援等の社会貢献に還元される仕組みになっています。例えば、「ドラゴンクエスト・ロトの紋章」で知られる藤原カムイ氏が手掛けたNFTの流通によって、プレイヤーのキャラクターが進化すると同時に、その収益が日本・バングラデシュ・カンボジアの障害者雇用や子供の教育支援に寄付されるという取り組みが行われました。

「遊んで、稼いで、社会の役に立つ」をコンセプトに掲げるELYSIUM’S EDGEは、今後もブロックチェーンゲームとしてさらなる発展が期待されるプロジェクトです。より詳細な情報を知りたい方は、ELYSIUM’S EDGEのホームページや、公式Xアカウントをご覧下さい。

4-4. tancre(たんくれ)


tancreは、イベントやサービスのカーボンニュートラル実現のために導入された、関係者全員が参加できるカーボンオフセットサービスです。具体的には、tancreを通じて小口化されたカーボンクレジット(カーボンオフセット)を販売し、購入者には貢献の証としてデジタル証明書(NFT)を発行します。本イベントでは岐阜県の森林管理プロジェクトから創出されたJ-クレジット50kgを500円で販売しました。ちなみに今回のイベントのCO2の総排出量は3.159tと計算されました。


今回のtancreデジタル証明書には特別に、グローバルReFiメディアCARBON Copyの共同創立者兼編集長Kent Babin氏によるReFi解説動画の限定URLリンクが付属しています。ReFiの基本と現状がまとめられた素晴らしい内容となっておりますので、イベントにご参加いただけなかった方も、ぜひこちらのリンクからtancreをご購入いただき、カーボンオフセットにご協力ください。(※本tancre購入リンクは8月末までオープン予定)

ReFi Tokyo 2024 tancre(デジタル証明書)

CARBON Copyの共同創立者兼編集長Kent Babin氏によるReFi解説動画

4-5. 西海クリエイティブカンパニー


同社の代表取締役の宮里賢史氏が登壇し、革新的な取り組みについて発表を行いました。
西海クリエイティブカンパニーは、長崎県西海市を拠点に「人が減っても大丈夫な社会をつくる」というビジョンのもと活動しています。宮里氏は、同社がエネルギー、AI&テクノロジー、ブランディング&マーケティングの3部門で事業を展開していることを説明しました。特に注目を集めたのは、人口減少が進む地域での持続可能な社会モデルの構築に向けた取り組みです。
同社は再生可能エネルギーの活用に力を入れており、太陽光発電事業や洋上風力発電計画を進めています。さらに、ブロックチェーン技術を導入し、環境価値のトークン化を通じてReFiマーケットへの参加障壁を低くする試みも行っています。具体的にはKlimaDAO JAPANとの協業により、豊富な環境価値をブロックチェーン化する事業に取り組んでいる点です。この取り組みは、ReFiの理念を地域レベルで実践する先進的な事例として、参加者の大きな関心を集めました。
西海クリエイティブカンパニーの取り組みは、地域の特性を活かしながら最先端技術を導入し、人口減少社会における新たな経済モデルの構築を目指すものです。この先進的なアプローチは、ReFi Tokyo 2024の参加者から高い評価を受け、今後の展開に大きな期待が寄せられています。

5. イベントまとめ

ReFi Tokyo 2024は、日本におけるReFiの現状と可能性を示す重要なイベントとなりました。
日本でReFiに取り組む各プロジェクトがReFiの理念を様々な形で実践している様子が共有されました。これらのプロジェクトは、環境保護、地域活性化、ゲーミフィケーション、カーボンオフセットなど、多岐にわたる分野でReFiの可能性を示しています。
本イベントを通じて、ReFiが単なる概念ではなく、実際に社会に変革をもたらす可能性を秘めていることが示されました。参加者からは高い関心が寄せられ、ReFiの今後の発展に大きな期待が寄せられています。
ReFi Tokyo 2024は、日本のReFi業界にとって重要なマイルストーンとなり、ここで生まれたつながりやアイデアが、今後のReFiの発展に大きく貢献することが期待されます。

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F太郎 【KlimaDAO JAPAN株式会社】

2017年からクリプトの世界に参入。プロジェクトへの投資やサポートを通じて、クリプトやブロックチェーンへの理解を深める。2022年からクリプトの力で世界を変えられる可能性のある「ReFi(再生金融)」に興味を持ち、ReFiプロジェクトである「KlimaDAO」のContributorとして活動を開始。 昨年10月にKlimaDAOのコアメンバーと共にKlimaDAO JAPAN株式会社を設立し、KlimaDAOのソリューションサービスを日本で展開中。また、日本でより多くの方にReFiを知ってもらうために、「ReFi Japan」を設立し、ニュースレターの発信やイベントの開催をしている。