製鉄スタートアップ企業ボストン・メタルが、東京を拠点とする丸の内イノベーションパートナーズより、シリーズC2(資金調達ラウンド)で2,000万ドル(約29億4,000万円)を調達したと発表した(*1)。調達した資金を元手に、アジア市場でのプレゼンス拡大と優れた人材の獲得を目指す。
今回の資金調達により、ボストン・メタルは世界の鉄鋼生産の70%以上を占めるアジア市場でのプレゼンスを拡大する。さらに、商業化を加速させ、業界トップクラスの人材を獲得・確保することで継続的な成長を図る。
ボストン・メタルは、シリーズC1での資金調達の勢いに乗り、鉄鋼業界の2050年のゼロカーボン目標を支援するため、2026年までに画期的なグリーン鉄鋼技術を商業化する取り組みを加速している。同社は、早ければ24年に高価値金属事業から収益を上げ始める見込みだ。
運輸やインフラなどの分野で脱炭素化が推進され、グリーンな鉄鋼ソリューションへの需要が高まっている。ボストン・メタルの溶融酸化物電解(MOE)技術は、豊富な中低品位鉄鉱石から高品質の鉄鋼を生産できるワンステッププロセスとなる。
柔軟性は他に類を見ないものであり、MOEは様々な産業において環境的に持続可能な鉄鋼に対する需要の高まりに応えることができる。プラットフォーム技術として、鉱山廃棄物のようなこれまで使用できなかった低濃度の材料から高価値の金属を抽出することも可能だ。
今回の発表は、ボストン・メタルが米エネルギー省(DOE)からウェストバージニア州ウィアトンに金属クロム製造工場を設立し、航空宇宙などにとって重要な材料の陸上生産を行うことに選ばれたことに続くものである。
ボストン・メタルの最高経営責任者(CEO)を務めるタデウ・カルネイロ氏は「厳しい市場環境にもかかわらず、弊社の評価額は上昇を続けており、一流の投資家から資金を調達し続けることができるのは、ビジョンと能力に対する確固たる信頼の証だ」と述べた(*1)。これまでの調達資金は総額2億8,200万ドルに達している。
今回出資した丸の内イノベーションパートナーズは、三菱商事が主体となって設立されたゼネラルパートナー(運用会社)である。23年4月には、気候テック関連の新興企業に成長投資を行うファンド「Marunouchi Climate Tech Growth Fund L.P.」を設立している(*2)。
【参照記事】*1 ボストン・メタル「Boston Metal Secures $20M in Series C2 Funding, Bringing Total Round to $282M」
【参照記事】*2 丸の内イノベーションパートナーズ「「Marunouchi Climate Tech Growth Fund L.P.」を組成いたしました/The launch of Marunouchi Climate Tech Growth Fund L.P.」
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